いわゆる2号後段書面の証拠の採否が問題となったケースがあった。
このケースは、参考人が捜査段階での検面調書での被告人に不利な供述をひっくり返して、公判で証人として呼ばれた際には、被告人に有利な供述をしたというものであった。
検察官は、刑訴法321条1項2号2号後段書面として、証拠請求。
弁護人としては、当然これに反対することとなる。
弁護人としては、裁判所が証拠請求した場合に備えて、証拠採用決定に対して異議申立をしておかなければならない。
この異議のポイントであるが、
1 異議の申立は直ちにしなければならない(刑訴規則205条の2)
2 法令違反であることを指摘しなければならない(規則205条1項)
ということである。
と、ここまではほぼどの本にも書いてあるが、では、どのように異議を実際に出したらよいのかということについては、残念ながらずばり書いてある本は少ない。
司法研修所が出している「刑事弁護実務」(いわゆる白表紙)や青林書院「刑事弁護の手続きと技法」にも書いていない。
私が参照できたもので、この点を書いているのは、日本評論社「刑事弁護」だけであった(ほかにもいい本があれば教えてほしい)。
同書によれば、
証拠決定が出たら、その場で、
「異議あり。裁判所の決定は*条*項に違反する」
といわなければならないとされており、伝聞証拠の場合は、違法の理由として、
「伝聞法則である刑訴法320条1項の規定に違反する」
といえばよいとされている。
有益な書式が多い、ミランダの会のホームページも参照したが、2号書面の異議申立の書式はないようである。
書式集にあったのは、
検察側証人採用決定に対する異議申立
弁護側鑑定請求却下に対する異議申立
であった。
前者では、
「検察官は、弁護人からの度重なる要求ににもかかわらず、右両名の供述を一切弁護人に開示しないまま、本証人申請に及んだものである。この状態で証人尋問を実施することは、被告人の防御の権利(日本国憲法三七条二項、市民的及び政治的権利に関する国際規約一四条三項(b))を著しく侵害するものである。(以下略)」
と法令を掲げてあったが(→
こちら)、後者については、法令を掲げておらず(→
こちら)、残念ながら参考にならない。