3年目くらいまでの弁護士向け実務刑事弁護の覚書


by lodaichi

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 前回、刑務所事情のニュースを載せたが、刑事弁護人は刑事政策にもある程度通じている必要性があるからだ。

 法学部には、刑事政策という講座があるが、司法試験の科目でなくなってしまったし(法律選択科目があったときは、選択科目だったのだが)、ロースクールでも学ばないらしい、少なくとも私が講義にいっていたロースクールではそのようだった)。

 刑事政策の勉強は、
1 教科書での自習
2 新聞記事
3 収容者の雑談
から学べる。

 教科書は、藤本哲也の刑事政策概論(一番新しいのが、全訂第5版)を勧める
こちら

 刑事政策の分野は法律が激変しているから、アップトゥーデートになっていないと、古い知識を学んでも仕方ないので。
 本書は2006年3月発行のようなので、それまでの改正はフォローされているであろう 
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by lodaichi | 2008-01-07 20:15

高齢者受刑者の問題

高齢者受刑者の問題がだんだん大きくなってきています、
記事は、高齢者受刑者の専用棟を作ったというもの
でも、釈放後の方がさらに問題になるのでしょう。
もっとも、それは法務省からすれば、うちの管轄ではないよということになるのでしょうが・・・


以下、朝日コムより

刑務所に高齢者専用棟 3カ所で1千人収容へ 法務省
2008年01月04日08時00分

 法務省は、全国の三つの刑務所に高齢受刑者向けの専用棟を新たに設けることを決めた。フロアの段差をなくしたバリアフリーの施設にして、日常生活に支障がある受刑者でも過ごしやすくするとともに、職員の負担も減らすのが狙い。07年度の補正予算案に建設費83億円を計上。受刑者の高齢化が急速に進むなか、3カ所で約1千人を集中的に受け入れる計画だ。

 対象は広島(定員1606人)、高松(同1175人)、大分(同1512人)の各刑務所。いずれも60~70年代に建設された施設で、建て替えにあわせて、それぞれ1棟を高齢者棟として整備する。高齢者向けの改修を施した施設は尾道刑務支所(広島県)の例があるが、専門棟を設けるのは初めてという。

 3棟の定員は360人ずつ。車いすの受刑者でも居住棟から作業場への移動ができるようにし、壁には転倒事故防止の手すりを巡らせる予定。エレベーターも備え付ける。3刑務所とも都市部にあることから、立地条件を生かして近くの公立病院と連携し、受刑者が診療を受けやすくする。

 法務省によると、全国の施設にいる60歳以上の受刑者は、97年には3400人だったが、06年には8700人まで増えた。このうち約900人は歩行や日常生活に支障がある人たちだという。

 背景には、身寄りがなく、就職先を見つけられない高齢者が出所後も窃盗などを犯し、再び刑務所に戻ってくる現状がある。犯罪を10回以上重ねた「多数回再犯者」に占める65歳以上の割合は、95年は7.9%だったが、05年には20.3%に達した。

 こうした高齢受刑者は食事や移動に時間がかかったり、重労働ができなかったりして集団生活が難しく、職員の手厚い対応も求められる。同省は「高齢者を集めることで、そのペースにあった生活や作業をさせられ、刑務所全体の運営も効率化できる」としている。

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by lodaichi | 2008-01-05 06:58
 弁護人がビデオテープを再生させながら接見することは許されるか

 この問いに対しては、大阪高裁平成17年1月25日判決(後藤国賠事件)があります
 PDFファイルで内容を見ることが出来ます(→こちら

 結論としては、許されるというものです。
 なお、この判決は、国側から最高裁に上告(又は上告受理?)がなされたようですが、確定しています(→上山法律事務所のブログ記事

 上記判決を一読しただけですが、次のような課題があるかと思いました。
1 後藤国賠では監獄法が施行されており、同法50条及び同法施行規則127条2項が問題となり、上記判決はこれを合憲限定解釈しましたが、現在は刑事施設収容者法に改正されており、現段階でそれぞれの法規がどのようになっているのか、ないしこの判決がどのように位置づけられるか。
2 ビデオテープを再生する際の装置について電源を拘置所から借りることが出来るのか否か
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by lodaichi | 2008-01-04 13:09
最高裁平成19年12月25日決定

 これは弁護側にとっては大きいですね。
 最高裁も任意性の有無の立証については、広く証拠を開示すべきという態度をとったということでしょう。


1 刑訴法316条の26第1項の証拠開示命令の対象となる証拠は,必ずしも検察官が現に保管している証拠に限られず,当該事件の捜査の過程で作成され,又は入手した書面等であって,公務員が職務上現に保管し,かつ,検察官において入手が容易なものを含む
2 取調警察官が,犯罪捜査規範13条に基づき作成した備忘録であって,取調べの経過その他参考となるべき事項が記録され,捜査機関において保管されている書面は,当該事件の公判審理において,当該取調べ状況に関する証拠調べが行われる場合には,証拠開示の対象となり得る

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by lodaichi | 2008-01-01 11:45

保釈率15%に上昇

 保釈率が増加という記事(12月31日)。
 日弁連から配布されているニュースでも保釈がこれまでよりも出やすくなってきているのではないかという点について言及されていた。

 記事では、「裁判員制度に向け、05年にスタートした「公判前整理手続き」のため被告の保釈の必要性が高まっていることなどが背景とみられる。」としているが、これはどうか疑問。
 確かに、公判前整理手続きが長引けば、保釈の必要性は認められるだろうが、多くの事件は殺人などの重大事件であり、権利保釈の除外事由に該当するケースだからである。
 実際、殺人のケースで公判前整理手続き中に保釈しているというケースは聞いたことがない。

 ライブドア事件のような事件では保釈が認められるかもしれませんが(→堀江氏の保釈で示された新しい保釈の運用可能性


以下、日経ネットより

 保釈率、15%台に上昇・公判前手続きが契機
 刑事事件で起訴された被告の保釈が認められるケースが増加に転じ始めた。最高裁によると、保釈率は2003年に12%台と過去最低になったが06年は15%台に回復。07年はさらに高まる見通しだ。裁判員制度に向け、05年にスタートした「公判前整理手続き」のため被告の保釈の必要性が高まっていることなどが背景とみられる。

 刑事訴訟法は、弁護側から保釈請求があれば、(1)死刑や無期懲役などの可能性がある重い罪で起訴されている(2)証拠隠滅の恐れがある――など例外的なケースを除き、裁判所は保釈を許可しなければならないと規定している。(31日 07:02)

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by lodaichi | 2008-01-01 11:37