3年目くらいまでの弁護士向け実務刑事弁護の覚書


by lodaichi

検察のリークについて

元検察官の落合弁護士が
  「検察とリーク」と題して、ブログを書かれています。

 検察という権力がどのようにマスコミに情報を流すのかについて参考になると思います。

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20100121#1264048021
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# by lodaichi | 2010-01-21 14:38
これまで、刑事訴訟規則17条関係で
弁護人選任届と刑事訴訟規則17条、18条
略式手続きに新たに弁護人選任届けを提出すべきか

という記事を書いてきたが、今回も刑事訴訟規則17条の関係である。

この記事が17条は初めてだという方のために、刑事訴訟規則17条を再度引用しておく。

(被疑者の弁護人の選任・法第三十条)
第十七条 公訴の提起前にした弁護人の選任は、弁護人と連署した書面を当該被疑事件を取り扱う検察官又は司法警察員に差し出した場合に限り、第一審においてもその効力を有する。

問題にしたいのは、表題にもあげたが、検察官送致前に弁護人選任届けをどこに提出するか、ということだ(この問題は、身体拘束事件ではあまり実用的ではないが、在宅事件では問題になる)

規則17条をみれば、これは明らかである。

17条は、「検察官又は司法警察員」と書いてあり、検察官は送検前には担当すら決まっていないのであるから、司法警察員に提出するほかはない。

ところが、このことが、司法警察員つまり警察官が全くといっていいほどわかっていないことだ。

在宅事件で弁護人選任届けを送ったら、
「先生、これは当方に送られるものなのでしょうか?送検したら検察官に送ってもらえませんか」
とか明らかに怪訝な対応をされたことが、複数回ある。

規則17条を見ろ!と指摘するのだが、警察官は、「はあそうですか。ではお預かりします。」とあんまり納得していない。
きちんと規則17条をみていないから、送検しても弁護人選任届けが検察官の手元にわたらないこともあった。

それはおかしいだろうと文句を言ったら、送検してくれたが・・・・

在宅の警察段階では、弁護人選任届けを提出されることが少ないのだろう。

であるから、在宅事件で弁護人としてつく場合は、このような警察の対応がありうることを想定して確認をしておいた方がよい。
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# by lodaichi | 2010-01-11 08:44
前回、弁護人選任届けへの弁護人の署名にからんで、刑事訴訟規則17条をとりあげたが(→前回記事)、再度同じ条文から別の問題を考えてみよう。


まず、刑事訴訟規則17条を再度引用しておく。

(被疑者の弁護人の選任・法第三十条)
第十七条 公訴の提起前にした弁護人の選任は、弁護人と連署した書面を当該被疑事件を取り扱う検察官又は司法警察員に差し出した場合に限り、第一審においてもその効力を有する。

今回の問題にしたいのは、
 在宅事件(例えば、自動車運転過失傷害)の被疑者の弁護人になった
 捜査が終了し、検察官は略式請求をした
 略式請求を受理した簡易裁判所に対して、弁護人選任届けを新たに提出しなければならないだろうか(それとも捜査段階で提出した弁護人選任届けが効力を有するのか)
ということである。

 実際、昨年こういう問題に直面した。

 条文の解釈の問題で言えば、規則17条の
 「第一審においてもその効力を有する。」
というところが問題となり、「第一審」に略式の手続きが含まれるかどうかということだ。

 結論からいうと、略式手続きは、「第一審」に含まれない、つまり、新たに弁護人選任届けが必要ということになるようである。
 
 刑事訴訟法は7編にわかれている。

 第一編 総則(第一条)
 第二編 第一審
 第三編 上訴
 第四編 再審(第四百三十五条―第四百五十三条)
 第五編 非常上告(第四百五十四条―第四百六十条)
 第六編 略式手続(第四百六十一条―第四百七十条)
 第七編 裁判の執行(第四百七十一条―第五百七条)

第一審(第二編) と略式手続(第六編)は別の編になる。
そうだとすれば、略式手続きは、「第一審」に含まれないと解するのが相当であろう。

 実際、裁判所からも新たに弁護人選任届けを提出するよう要求された。

 私は、このような「指導」を受けても、簡単にはいそうですかとはいわないのであるが、今回は、上記のような点を考慮すれば、裁判所に論争をしかけても結局負けてしまうと考えたので、おとなしく「指導」に従うこととした。
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# by lodaichi | 2010-01-08 06:58
弁護士として提出する書面は、刑事事件でも記名押印で足りるのであるが、弁護人選任届だけは例外である。

弁護士も署名押印をすることと、教わるだろうし、記名押印をしたら、被疑者段階なら、検察官から、「先生、この弁護人選任届、先生の署名がありませんけど」といわれるのがおちであろう。

さて、これはなぜであろうか。

刑事訴訟法をいくら見ても解決はつかない。
刑事訴訟法には、選任の方式について何ら規定していないからだ。

答えは、刑事訴訟規則にある。

刑事訴訟規則17条は、弁護人選任届けについては、重要な条文であるから、参照できるようにしっかり記憶しておいてほしい。

(被疑者の弁護人の選任・法第三十条)
第十七条 公訴の提起前にした弁護人の選任は、弁護人と連署した書面を当該被疑事件を取り扱う検察官又は司法警察員に差し出した場合に限り、第一審においてもその効力を有する。

 さきほどの答えを言うならば、刑事訴訟規則17条に「連署」する旨規定しているからだ
ということになる。

 しかし、これだけで終わりにしてしまうのは、刑事訴訟規則17条を十分に知る上では、ちと惜しい。

 この17条、実は不思議な条文の書き方をしているのである。

 それは、同規則18条と比較してみればわかる。

(被告人の弁護人の選任の方式・法第三十条)
第十八条 公訴の提起後における弁護人の選任は、弁護人と連署した書面を差し出してこれをしなければならない。

つまり、被告人の弁護人の選任の方式としては、「弁護人と連署した書面を差し出してこれをしなければならない」としており、連署したものでなければ、弁護人選任の効力が生じないものとされているのに、被疑者段階の場合は、「第一審においてもその効力を有する」という限度でしか規定されていないのである。

そこで、「第一審においてもその効力を有する」ということが解釈上の問題として浮上してくる。

17条を反対解釈すれば、
 連署しなくても、第一審の前(即ち被疑者段階)では、効力を生じる
となりそうである。
 
 しかし、検察実務ではそのような解釈はとらないようであり、署名が無いと、検察官から、「先生、この弁護人選任届、先生の署名がありませんけど」といわれるのがおちである。

 このようなところで争っても仕方ないので、検察官からの”指導”に従うことにしているが、ひとつの問題点であろう。
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# by lodaichi | 2010-01-01 08:33
 一審で判決が出たら、弁護人としては判決の内容について被告人に説明し、控訴するか否か意思の確認をすべきである。

 言い渡された判決を被告人が理解していないということは、かなりある。

 それだけ、判決というものは被告人には理解しにくいものだ。

 また、被告人には控訴する権利があり、その権利は判決において裁判官から告知されるが、判決の内容がわからなければ控訴したらいいのかどうか、被告人は判断できない。

 控訴するかどうかは、控訴審がどのくらいかかるのかとも関係してくる。

 控訴審を経験していない弁護人は控訴審がどのくらいかかるのかわからないものだ。

 先般、日本初の裁判員裁判の控訴審判決がでたので、これを例にとって説明しよう。

 一審判決は2009年8月6日であった
  【裁判員 判決】初の裁判員裁判で判決 経験者は「重責果たした」 (産経ニュース)

 被告人が控訴し、控訴審は12月1日に行われ、1回で結審している。
  全国初の1審裁判員裁判の控訴審 被告側は減刑訴え(同ニュース)

 控訴審判決は、12月17日であった。
  全国初の裁判員裁判、被告側の控訴を棄却 東京高裁

 つまり、一審判決から控訴審の審理が始まるまで4ヶ月弱、
 控訴審の結審から判決までは17日間であったということになる。

 一審判決でシビアーな争いが無く、控訴審でも量刑不当とか、一審同様の主張がなされ、証拠も特に提出されずというケースですは、これと同じような動きになるであろう。

 即ち、一審判決から控訴審の審理が始まるまで4ヶ月前後
 控訴審の結審から判決までは2~3週間というところである。

 もちろん、事件の内容によってこれとは異なることは当然であるから、これはあくまでも「早くて」ということになろうが、一応の説明にはなる。



 
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# by lodaichi | 2009-12-31 20:31

民事法律扶助の利用拡大

「法律扶助」を拡大へ 10年度、不況で利用増加(日経ネット)

 今回は刑事弁護とは関係ない。
 民事法律扶助の話。

 民事法律扶助とは、弁護士にはいうまでもないところだろうが、資力のない方に、
1 無料法律相談を行い
2 裁判費用や弁護士費用の立て替えを行う制度。
 
 もっとも、新修習生は、前期修習がないので、初期の段階では民事法律扶助のことはわからないらしい(法テラスのことは就職関連で知っているが、法律扶助までは理解していないことが多い)。

 まあ、そういえば自分も実務修習をやって初めてその存在を知ったくらいだから、仕方ないのかなと思う。
 
 当時は法律扶助のことが新聞記事でとりあげられることはなかったように思うから、時代は変わったものだ。

 この制度は、法テラス(日本司法支援センター)が行っているもの。

 法テラスに直接申し込みをしてもよいのであるが、この場合弁護士を選択することはできない。

 法テラスに登録していれば、法律事務所に直接申込むことも可能なのだが(いわゆる、持込み)、そのようなことを宣伝している弁護士のホームページはほとんどない。

 確かに、宣伝すると資力用件を充足する人は、法律扶助を使いたがってしまい、その分売り上げが落ちてしまうでしょうからね(法律扶助の弁護士費用のほうが、通常の弁護士費用よりも安いため)。


 資力要件については、下記サイト参照。
  法テラス利用のための手取り月収額の基準
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# by lodaichi | 2009-12-30 08:28
以前、
在宅事件における略式罰金の手続という記事を書いたが、
 
1 初犯の酒気帯び運転罪で罰金というようなケースと
2 自動車運転過失傷害・自動車運転過失致死
のようなケースでは処理の方式が異なるというようなことを概略的に説明しただけで終わってしまっていた。

 今回は、自動車運転過失致死のようなケースで、依頼者にどのような説明をしていくか、弁護人としてはどのように考えていくかということを考えてみたい。

まず、流れを押さえておく
ア 検察官は所定の捜査が終わった時点で被疑者の同意をとって略式起訴
イ 裁判所もそれを審理してから略式命令を出す(起訴当日にはでない)
ウ 略式命令は被疑者(この時点では被告人だが)に送達される

この手続きを検察官は、被疑者に対してきちんと説明していない。
ある被疑者に検察官がいったのは、
「君を略式罰金にすることとしたから、この同意書に署名押印しなさい。
振り込み用紙が届くことになるから、それを払いなさい」
だけであったという。

これでは、裁判官がなにをするのかという説明が一切ない(ひどい説明だ!)。

自動車運転過失致死だと現在は刑がかなり厳しくなっているので、略式罰金と聞いた瞬間に弁護人としては、ああこれでもう自分の仕事が終わったと思いがちだが、まだまだ仕事は残っている。

まず、裁判所が略式不相当というかもしれない(まあ、あまりないが)から、そのことを場合によっては説明する。

刑訴法
第463条1項
 前条の請求があつた場合において、その事件が略式命令をすることができないものであり、又はこれをすることが相当でないものであると思料するときは、通常の規定に従い、審判をしなければならない。

次に、ここは大切なところであるが、裁判所から略式命令が送られてきても、それに異議申し立て(正式裁判請求)はできるのだ、弁護士としては、記録をコピーして検討するからねということを説明しておく。

正式裁判請求についての条文は次のとおり

第四百六十五条  略式命令を受けた者又は検察官は、その告知を受けた日から十四日以内に正式裁判の請求をすることができる。
○2  正式裁判の請求は、略式命令をした裁判所に、書面でこれをしなければならない。正式裁判の請求があつたときは、裁判所は、速やかにその旨を検察官又は略式命令を受けた者に通知しなければならない。
第四百六十六条  正式裁判の請求は、第一審の判決があるまでこれを取り下げることができる。

このように正式裁判請求というのは重要なのだから、略式命令が送られてきたらそのことを弁護人に必ず通知してください、また、できたファクスしてくださいということも伝えておかなければならない。

略式命令に対する正式裁判請求が、捜査段階の弁護人でもできるかどうかについて疑問があるとするものに
奥村徹弁護士の見解
がある。
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# by lodaichi | 2009-12-25 21:16