3年目くらいまでの弁護士向け実務刑事弁護の覚書


by lodaichi

<   2010年 04月 ( 4 )   > この月の画像一覧


NHK「クローズアップ現代」
2010年 4月 8日(木)放送
社会問題 事件・事故
揺らぐ死刑判決
 ~検証・名張毒ぶどう酒事件~

同番組内で
「犯人である確率が80%であっても有罪にする」
というある裁判官の発言が報道された。


それに対する、ゲストの木谷明(法政大学法科大学院教授;元裁判官)のコメント
http://cgi4.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail.cgi?content_id=2873

>>本当に8割でいいと考えているとすれば、私はそれは明らかにまちがいだと思いますけれども、そういう心理に傾く裁判官の気持ちはある程度は理解できるんですよ。法廷では、まず悲惨な被害の状況が確実に立証されます。そして、目の前にはですね、検察官の立証によって、いかにも黒っぽく見える被告人がいる、そういう状況になると、こういう重大犯罪を被告人がやったんじゃないかという疑いがかなりの程度あるのに、その被告人を本当に釈放してしまっていいのかと、無罪と認めちゃっていいのかというところで、裁判官は内心葛藤すると思うんですね。その場面で「真犯人を逃がすことがあっても無実の者を処罰してはいけない」と割り切ることができないと、先ほどの裁判官のような考え方になってしまう。そこをどう割り切るかが大きな分かれ目であると思います。

 木谷さんのコメントは、間接的ながら、8割の心証で有罪でよいという裁判官が相当数いることを認めているのだと思う。
 そうでなければ、「そんな裁判官いるはずがない」というコメントになるはずだ。

 刑事弁護をするものとしては、以上のような裁判官がいることを十分に踏まえて弁護活動をすべきだ。

 木谷さんがいうように、それは理論的には明らかな間違いであるが、木谷さんですら、そういう心理になりやすい裁判官の心情はわかるといっているのだから。
[PR]
by lodaichi | 2010-04-10 10:58
修習生と話をしていたら、少年保護事件付添扶助事業のことはわかっていないみたいだった。
修習生がわからないのも無理はないのだが、実務では結構使う(少なくとも当事務所では)ので、ここで解説しておく。

少年保護事件付添扶助事業とは、扶助事業で少年事件での付添人を対象とするものである。

 例えば、窃盗事件で少年が逮捕・勾留されたとする。
 窃盗事件だから、被疑者段階では、被疑者国選制度が適用され、少年には国選弁護人がつけられるが、家裁送致になってしまったら、弁護人ではなくなってしまう。
 また、少年の国選付添人はかなり限定された場合でしか選任されない(通常、窃盗事件では国選付添人は選任されない)ので、少年には付添人を私費でつけなくてはならないことになる。

 これでは、少年の防御などがはかれないので、扶助事業として、少年保護事件付添扶助事業があるわけだ。

 現在、この事業は
  日弁連が実施主体となっており、日弁連が日本司法支援センター(法テラス)に対して事業を委託している。
 であるから、付添扶助事業の申し込み受付などは法テラスが窓口となっているのである。

 先の窃盗事件の例でいえば、
 被疑者段階は国選弁護人で
 家裁送致されてからは、形としては私選の形で付添人となるが(だから、付添人選任届を取っておく必要がある)、弁護士費用は付き添い扶助制度を利用することになる。

このような間隙が生じることについて、日弁連では
全面的な国選付添人制度の実現を求める決議
を出しているので、興味のある方は参照されたい。
http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/hr_res/2007_2.html

[PR]
by lodaichi | 2010-04-06 10:15
 弁護人から便せん及び封筒を差し入れることができるか?

 当然できるじゃないかと思われるかもしれないが、佐賀少年刑務所では、同刑務所長制定の達示に基づき、「うちの業者を通じてじゃないと駄目だ」とこれを拒否したのである。

 これに対して、弁護士が提訴。

 裁判所は、弁護人からの便せん及び封筒の差し入れを認めた。

 平成22年2月25日福岡高裁判決 
 判決全文はこちら(pdfファイル)

 これにより、今後は弁護人からの差し入れも認められるであろう。
[PR]
by lodaichi | 2010-04-01 18:18
日弁連メールマガジンより

宇都宮会長の挨拶ということで、持論の増員ペースの減速論がかかげられていた。

「これまで新人弁護士は、就職して先輩弁護士とともに仕
事に取り組みながら、現場の仕事を覚えていきました。医師と
同じように、弁護士も、実務研修が必要です。司法試験合格者
増に見合う就職先がないということが、依頼者である市民の権
利・利益が十分に守られないという結果に結びつくことのない
ように、早急に事態の改善を図らなければなりません。
法曹養成制度の改革には一定の時間がかかるとすれば、増員ペースの
減速(法曹人口の減少ではありません)に着手すべきであると
考えます。」

増員ペース減速論の論拠として、
「司法試験合格者増に見合う就職先がないということ」があげられているが、そうだったら
 ”就職先を増やそうという戦略”
を立案する方が妥当だと思うのだが・・・

 最近、就職している若手弁護士が長時間労働にさらされているという話を耳にする。
 これは、私の周りだけの話なのだろうか?

 若手弁護士が長時間労働をしなければならないということは、仕事としてはあるということだ。

 その仕事をそれこそ「ワークシェア」すればよいのではないかと思うのだが・・・
[PR]
by lodaichi | 2010-04-01 18:01