3年目くらいまでの弁護士向け実務刑事弁護の覚書


by lodaichi

<   2010年 01月 ( 6 )   > この月の画像一覧

弁護士の説明義務

刑事事件についてのものではないが、

田舎弁護士の訟廷日誌(四国・愛媛)
の下記記事は参考になる。

債務整理事件を受任した公設事務所の弁護士が辞任に当たって説明義務に違反したとして、債務不履行に基づく損害賠償が認容された事例 鹿児島地裁名瀬支部平成21年10月30日判決
[PR]
by lodaichi | 2010-01-28 21:08
新規受刑者の中で
知的障害者とされるべき人の割合がどのくらいかご存知だろうか?

その割合23%(6700人)が知的障害者であるそうだ

知的障害者や高齢者が刑務所の中でどのような処遇をされているかについては
03年に出版された山本譲司・元衆院議員の「獄窓記」(ポプラ社)
にも記されているところであり、問題が多い

そこで、刑務所を出所した知的障害者や高齢者の社会復帰を支援する目的で
地域生活定着支援センター
の設立が各地で進んでいる

これは
厚生労働省が運営費を補助し、全都道府県に開設を要請するもので
設営主体は都道府県になるが
運営は民間団体に委託する
というものである

現在、千葉県ではモデル事業が行われている段階であり、正式な設立には至っていない

以上は2010年1月19日付東京新聞朝刊千葉中央版に記載されていた

新規受刑者の約4分の1に知的障害者がいるというのは驚きの数字である
弁護人としては、必ず身上調書などから被告の学歴を参照し、知的障害があるのかないのか検討すべきであろう。
そして、まずは責任能力の有無というものを検討すべきである。
仮に責任能力の有無というレベルでは問題とならないとしても、知的障害者として社会に適応するにあたっては、数々の困難が存在したはずであり、情状レベルでの責任を減少させる事由とはなるであろうから、この点を情状として考慮するように主張をすべきである。

弁護士として受刑後の生活にまではなかなか手が回らないし、依頼もないであろうが
地域生活定着支援センター
の名前くらいは覚えておいて、何かのおりには、そこに弁護士が相談や問い合わせするということを考えておくのもよい。
[PR]
by lodaichi | 2010-01-26 11:15

検察のリークについて

元検察官の落合弁護士が
  「検察とリーク」と題して、ブログを書かれています。

 検察という権力がどのようにマスコミに情報を流すのかについて参考になると思います。

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20100121#1264048021
[PR]
by lodaichi | 2010-01-21 14:38
これまで、刑事訴訟規則17条関係で
弁護人選任届と刑事訴訟規則17条、18条
略式手続きに新たに弁護人選任届けを提出すべきか

という記事を書いてきたが、今回も刑事訴訟規則17条の関係である。

この記事が17条は初めてだという方のために、刑事訴訟規則17条を再度引用しておく。

(被疑者の弁護人の選任・法第三十条)
第十七条 公訴の提起前にした弁護人の選任は、弁護人と連署した書面を当該被疑事件を取り扱う検察官又は司法警察員に差し出した場合に限り、第一審においてもその効力を有する。

問題にしたいのは、表題にもあげたが、検察官送致前に弁護人選任届けをどこに提出するか、ということだ(この問題は、身体拘束事件ではあまり実用的ではないが、在宅事件では問題になる)

規則17条をみれば、これは明らかである。

17条は、「検察官又は司法警察員」と書いてあり、検察官は送検前には担当すら決まっていないのであるから、司法警察員に提出するほかはない。

ところが、このことが、司法警察員つまり警察官が全くといっていいほどわかっていないことだ。

在宅事件で弁護人選任届けを送ったら、
「先生、これは当方に送られるものなのでしょうか?送検したら検察官に送ってもらえませんか」
とか明らかに怪訝な対応をされたことが、複数回ある。

規則17条を見ろ!と指摘するのだが、警察官は、「はあそうですか。ではお預かりします。」とあんまり納得していない。
きちんと規則17条をみていないから、送検しても弁護人選任届けが検察官の手元にわたらないこともあった。

それはおかしいだろうと文句を言ったら、送検してくれたが・・・・

在宅の警察段階では、弁護人選任届けを提出されることが少ないのだろう。

であるから、在宅事件で弁護人としてつく場合は、このような警察の対応がありうることを想定して確認をしておいた方がよい。
[PR]
by lodaichi | 2010-01-11 08:44
前回、弁護人選任届けへの弁護人の署名にからんで、刑事訴訟規則17条をとりあげたが(→前回記事)、再度同じ条文から別の問題を考えてみよう。


まず、刑事訴訟規則17条を再度引用しておく。

(被疑者の弁護人の選任・法第三十条)
第十七条 公訴の提起前にした弁護人の選任は、弁護人と連署した書面を当該被疑事件を取り扱う検察官又は司法警察員に差し出した場合に限り、第一審においてもその効力を有する。

今回の問題にしたいのは、
 在宅事件(例えば、自動車運転過失傷害)の被疑者の弁護人になった
 捜査が終了し、検察官は略式請求をした
 略式請求を受理した簡易裁判所に対して、弁護人選任届けを新たに提出しなければならないだろうか(それとも捜査段階で提出した弁護人選任届けが効力を有するのか)
ということである。

 実際、昨年こういう問題に直面した。

 条文の解釈の問題で言えば、規則17条の
 「第一審においてもその効力を有する。」
というところが問題となり、「第一審」に略式の手続きが含まれるかどうかということだ。

 結論からいうと、略式手続きは、「第一審」に含まれない、つまり、新たに弁護人選任届けが必要ということになるようである。
 
 刑事訴訟法は7編にわかれている。

 第一編 総則(第一条)
 第二編 第一審
 第三編 上訴
 第四編 再審(第四百三十五条―第四百五十三条)
 第五編 非常上告(第四百五十四条―第四百六十条)
 第六編 略式手続(第四百六十一条―第四百七十条)
 第七編 裁判の執行(第四百七十一条―第五百七条)

第一審(第二編) と略式手続(第六編)は別の編になる。
そうだとすれば、略式手続きは、「第一審」に含まれないと解するのが相当であろう。

 実際、裁判所からも新たに弁護人選任届けを提出するよう要求された。

 私は、このような「指導」を受けても、簡単にはいそうですかとはいわないのであるが、今回は、上記のような点を考慮すれば、裁判所に論争をしかけても結局負けてしまうと考えたので、おとなしく「指導」に従うこととした。
[PR]
by lodaichi | 2010-01-08 06:58
弁護士として提出する書面は、刑事事件でも記名押印で足りるのであるが、弁護人選任届だけは例外である。

弁護士も署名押印をすることと、教わるだろうし、記名押印をしたら、被疑者段階なら、検察官から、「先生、この弁護人選任届、先生の署名がありませんけど」といわれるのがおちであろう。

さて、これはなぜであろうか。

刑事訴訟法をいくら見ても解決はつかない。
刑事訴訟法には、選任の方式について何ら規定していないからだ。

答えは、刑事訴訟規則にある。

刑事訴訟規則17条は、弁護人選任届けについては、重要な条文であるから、参照できるようにしっかり記憶しておいてほしい。

(被疑者の弁護人の選任・法第三十条)
第十七条 公訴の提起前にした弁護人の選任は、弁護人と連署した書面を当該被疑事件を取り扱う検察官又は司法警察員に差し出した場合に限り、第一審においてもその効力を有する。

 さきほどの答えを言うならば、刑事訴訟規則17条に「連署」する旨規定しているからだ
ということになる。

 しかし、これだけで終わりにしてしまうのは、刑事訴訟規則17条を十分に知る上では、ちと惜しい。

 この17条、実は不思議な条文の書き方をしているのである。

 それは、同規則18条と比較してみればわかる。

(被告人の弁護人の選任の方式・法第三十条)
第十八条 公訴の提起後における弁護人の選任は、弁護人と連署した書面を差し出してこれをしなければならない。

つまり、被告人の弁護人の選任の方式としては、「弁護人と連署した書面を差し出してこれをしなければならない」としており、連署したものでなければ、弁護人選任の効力が生じないものとされているのに、被疑者段階の場合は、「第一審においてもその効力を有する」という限度でしか規定されていないのである。

そこで、「第一審においてもその効力を有する」ということが解釈上の問題として浮上してくる。

17条を反対解釈すれば、
 連署しなくても、第一審の前(即ち被疑者段階)では、効力を生じる
となりそうである。
 
 しかし、検察実務ではそのような解釈はとらないようであり、署名が無いと、検察官から、「先生、この弁護人選任届、先生の署名がありませんけど」といわれるのがおちである。

 このようなところで争っても仕方ないので、検察官からの”指導”に従うことにしているが、ひとつの問題点であろう。
[PR]
by lodaichi | 2010-01-01 08:33