3年目くらいまでの弁護士向け実務刑事弁護の覚書


by lodaichi

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 一審で判決が出たら、弁護人としては判決の内容について被告人に説明し、控訴するか否か意思の確認をすべきである。

 言い渡された判決を被告人が理解していないということは、かなりある。

 それだけ、判決というものは被告人には理解しにくいものだ。

 また、被告人には控訴する権利があり、その権利は判決において裁判官から告知されるが、判決の内容がわからなければ控訴したらいいのかどうか、被告人は判断できない。

 控訴するかどうかは、控訴審がどのくらいかかるのかとも関係してくる。

 控訴審を経験していない弁護人は控訴審がどのくらいかかるのかわからないものだ。

 先般、日本初の裁判員裁判の控訴審判決がでたので、これを例にとって説明しよう。

 一審判決は2009年8月6日であった
  【裁判員 判決】初の裁判員裁判で判決 経験者は「重責果たした」 (産経ニュース)

 被告人が控訴し、控訴審は12月1日に行われ、1回で結審している。
  全国初の1審裁判員裁判の控訴審 被告側は減刑訴え(同ニュース)

 控訴審判決は、12月17日であった。
  全国初の裁判員裁判、被告側の控訴を棄却 東京高裁

 つまり、一審判決から控訴審の審理が始まるまで4ヶ月弱、
 控訴審の結審から判決までは17日間であったということになる。

 一審判決でシビアーな争いが無く、控訴審でも量刑不当とか、一審同様の主張がなされ、証拠も特に提出されずというケースですは、これと同じような動きになるであろう。

 即ち、一審判決から控訴審の審理が始まるまで4ヶ月前後
 控訴審の結審から判決までは2~3週間というところである。

 もちろん、事件の内容によってこれとは異なることは当然であるから、これはあくまでも「早くて」ということになろうが、一応の説明にはなる。



 
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by lodaichi | 2009-12-31 20:31

民事法律扶助の利用拡大

「法律扶助」を拡大へ 10年度、不況で利用増加(日経ネット)

 今回は刑事弁護とは関係ない。
 民事法律扶助の話。

 民事法律扶助とは、弁護士にはいうまでもないところだろうが、資力のない方に、
1 無料法律相談を行い
2 裁判費用や弁護士費用の立て替えを行う制度。
 
 もっとも、新修習生は、前期修習がないので、初期の段階では民事法律扶助のことはわからないらしい(法テラスのことは就職関連で知っているが、法律扶助までは理解していないことが多い)。

 まあ、そういえば自分も実務修習をやって初めてその存在を知ったくらいだから、仕方ないのかなと思う。
 
 当時は法律扶助のことが新聞記事でとりあげられることはなかったように思うから、時代は変わったものだ。

 この制度は、法テラス(日本司法支援センター)が行っているもの。

 法テラスに直接申し込みをしてもよいのであるが、この場合弁護士を選択することはできない。

 法テラスに登録していれば、法律事務所に直接申込むことも可能なのだが(いわゆる、持込み)、そのようなことを宣伝している弁護士のホームページはほとんどない。

 確かに、宣伝すると資力用件を充足する人は、法律扶助を使いたがってしまい、その分売り上げが落ちてしまうでしょうからね(法律扶助の弁護士費用のほうが、通常の弁護士費用よりも安いため)。


 資力要件については、下記サイト参照。
  法テラス利用のための手取り月収額の基準
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by lodaichi | 2009-12-30 08:28
以前、
在宅事件における略式罰金の手続という記事を書いたが、
 
1 初犯の酒気帯び運転罪で罰金というようなケースと
2 自動車運転過失傷害・自動車運転過失致死
のようなケースでは処理の方式が異なるというようなことを概略的に説明しただけで終わってしまっていた。

 今回は、自動車運転過失致死のようなケースで、依頼者にどのような説明をしていくか、弁護人としてはどのように考えていくかということを考えてみたい。

まず、流れを押さえておく
ア 検察官は所定の捜査が終わった時点で被疑者の同意をとって略式起訴
イ 裁判所もそれを審理してから略式命令を出す(起訴当日にはでない)
ウ 略式命令は被疑者(この時点では被告人だが)に送達される

この手続きを検察官は、被疑者に対してきちんと説明していない。
ある被疑者に検察官がいったのは、
「君を略式罰金にすることとしたから、この同意書に署名押印しなさい。
振り込み用紙が届くことになるから、それを払いなさい」
だけであったという。

これでは、裁判官がなにをするのかという説明が一切ない(ひどい説明だ!)。

自動車運転過失致死だと現在は刑がかなり厳しくなっているので、略式罰金と聞いた瞬間に弁護人としては、ああこれでもう自分の仕事が終わったと思いがちだが、まだまだ仕事は残っている。

まず、裁判所が略式不相当というかもしれない(まあ、あまりないが)から、そのことを場合によっては説明する。

刑訴法
第463条1項
 前条の請求があつた場合において、その事件が略式命令をすることができないものであり、又はこれをすることが相当でないものであると思料するときは、通常の規定に従い、審判をしなければならない。

次に、ここは大切なところであるが、裁判所から略式命令が送られてきても、それに異議申し立て(正式裁判請求)はできるのだ、弁護士としては、記録をコピーして検討するからねということを説明しておく。

正式裁判請求についての条文は次のとおり

第四百六十五条  略式命令を受けた者又は検察官は、その告知を受けた日から十四日以内に正式裁判の請求をすることができる。
○2  正式裁判の請求は、略式命令をした裁判所に、書面でこれをしなければならない。正式裁判の請求があつたときは、裁判所は、速やかにその旨を検察官又は略式命令を受けた者に通知しなければならない。
第四百六十六条  正式裁判の請求は、第一審の判決があるまでこれを取り下げることができる。

このように正式裁判請求というのは重要なのだから、略式命令が送られてきたらそのことを弁護人に必ず通知してください、また、できたファクスしてくださいということも伝えておかなければならない。

略式命令に対する正式裁判請求が、捜査段階の弁護人でもできるかどうかについて疑問があるとするものに
奥村徹弁護士の見解
がある。
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by lodaichi | 2009-12-25 21:16
懲戒情報(自由と正義2009年12月号)

 被告人から結審後、判決前に、善後策を相談するため手紙等で接見に来てほしいとの連絡をもらったにもかかわらず、接見はもとより被告人に何らの連絡も取らなかった

 他1件とあわせて
→業務停止1ヶ月

(コメント)
 他1件の方が事案としては重いので、この刑事事件の件だけなら、戒告相当ではないか。
 被告人から結審後、判決前に、善後策を相談するため手紙等で接見に来てほしいとの連絡は、たびたびあることだが、これに対して何もしないのは懲戒になることを明らかにしたケースといえるであろう。

 ただ、被告人に連絡を取ればいいのか(例えば、忙しくて接見に行けない)、接見まですべきなのかについては、このケースは判断しておらず(「接見はもとより被告人に何らの連絡も取らなかった」としか判示していない)、刑事弁護人としてどうすればよかったのかは、明らかにしていないのは、どうなの?と思わせるケース。

 
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by lodaichi | 2009-12-21 20:15
懲戒情報(自由と正義2009年12月号)

 既済で不要となった刑事弁護事件記録の裏面白紙部分(表面には詐欺事件の被害者氏名一覧、被疑者氏名などの記載があった)を民事訴訟事件の手控え用記録として使用し、記録にとじてあった。
 この訴訟事件を辞任し、記録を民事事件の依頼者に交付するに当たり、刑事弁護事件記録の一部が存在していた事を失念し、そのまま依頼者に交付してしまった。
→戒告

いわゆる裏紙の使用による事案
裏紙の使用は厳禁とすべきですね。
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by lodaichi | 2009-12-16 21:12
12月になってさすがに忙しい。

ところで、この業界は12月28日が御用納めである。

起訴前の勾留はマックスで20日だから、28日までに捜査側が終わりにしようとすれば、その前まで勾留しておかなければならない。

28日を最終勾留日とし、20日勾留でくためには、9日までには勾留をしないといけない。

そのため、先週から今週にかけて勾留事務などは結構忙しいのではないかと思う。

この事件が昨日逮捕されたのも、上記のような理由があるかもしれない
http://www.excite.co.jp/News/entertainment/20091208/Sponichi_kfuln20091208006001.html

今後、年末年始にかけては、緊急を要する事案や現行犯事案のみが勾留されていくことになるであろう。
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by lodaichi | 2009-12-08 11:29

刑事弁護ビギナーズ

刑事弁護Beginners 実務で求められる技術と情熱を凝縮した刑事弁護の入門書
http://www.7andy.jp/books/detail/-/accd/32008132

うちの事務所の若手はみな持っているこの本。
今は新人弁護士にはこれが人気らしい

最近知った事だが、このブログもこの本で紹介されているそうな

どうりで、こんなマニアックなサイトに結構アクセスがあると思った(といっても、平日で50~90アクセスくらいだが)。

私が弁護士になったころ(1995年)は、このような親切な本はほとんどなかった

あったのは、
「刑事弁護」という日本評論者から出ている本
最近新版がでた
http://www.7andy.jp/books/detail/-/accd/32324592

裁判員の影響もあるのか本はたくさん出ているが、事件をこなしていくには、本にある知識だけではだめで、
 事件の筋読みの仕方とか
 刑事弁護に対するスピリットとか
 具体的な尋問でどう切り込んでいくのかとか
は記録を読み込んで、議論していくしかない。

 ひとりで考えているだけでは、やっぱり成長しないもので、いろいろな議論の中で見えてくるものがある。

 本の使用に当たっては、そういうことは是非念頭においてほしいものである。
 
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by lodaichi | 2009-12-02 06:57