3年目くらいまでの弁護士向け実務刑事弁護の覚書


by lodaichi

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 刑事弁護人として、被害者との示談にどう関与するかということは、新人弁護士のときに悩む問題のひとつであろう。

 被害者もひとそれぞれであり、マニュアルというものはなく、被害者に対して、誠実に説明を尽くし、弁護人としてできるところを提示するほかはない。

 弁護人があまりがんばらなくても、周囲の状況から意外にも簡単に示談が成立するケースもある。

 反対に、弁護人がいくらがんばっても、示談ができない事件というのは、少なからず存在する。そのような事件に当たった場合に、示談ができないからといって悩むことはない。

それは、事件の筋というか、被害者の感情というかそういう面の問題であり、弁護人の問題ではないからである。

 もっとも、指導する立場の私から見て、これはなかなか示談が難しそうではないかなと思っていても、示談がとれるケースもある。

 それは、弁護人がここまで行くかというくらいに、被害者(ないしその家族)のところに通って、被害者もそれに答えて弁護士の話に付き合ってくれて、だんだん弁護士と人間関係ができて、この弁護士となら示談してもいいかなと思えるようになってきたというようなケースである。

 これができるには、弁護人は10回以上足を運ぶこともあろうが、すべての事件でこれをやっていたらパンクしてしまうだろう。

 新人弁護士のころは、トライアル&エラーを繰り返しながら、自分の示談へのスタイルというものを確立していくことが必要である。
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by lodaichi | 2009-08-07 12:04
 被疑者国選の対象が今年の5月21日から拡大したため、弁護士として略式罰金で終わる手続にも関与する機会が格段に増えたといえる。

 略式罰金で終わる事件は、正式裁判がされない、つまり公判が開かれないで終わるので、正式裁判段階でしか付されない被告人国選は関与のしようがなかったのである。

 さて、勾留されている事件で、略式手続で利用されているのは、在庁略式方式というものである。

 これは、こんなものである(平成 5年版 犯罪白書)

”在庁略式の方式とは,検察官が被疑者を検察庁に在庁させて簡易裁判所に略式命令を請求(略式起訴)し,即日,略式命令が発せられた段階で,被告人が裁判所に出頭し,裁判所は直ちにその略式命令の謄本を被告人に交付して送達事務を完了し,仮納付の裁判があった場合は,直ちにその裁判を執行して罰金又は科料を仮納付させるやり方である。”

 手続の説明の仕方としては、これは正しい(法務省のお役人が書いているんであろうから当然であるが)。

 しかし、我々弁護士としては、手続の説明はかならず被疑者目線に翻訳しなければならない。
 上のような説明をそのまましたって、一般人にはわからないからである。

 被疑者の方からすると、この方式がとられる場合、どのような動きになるか。
1 まず、当日検察庁に行くということである。
 弁護人としては、「当日、略式罰金の手続がとられる場合は、検察庁にまず行くことになりますよ」という説明になる。
2 次に、検察官が起訴し、略式命令が発せられるわけだが、この手続は被疑者からみると自分が関与しないわけなので、よくわからない。
だから、私ならこの辺の説明は軽く飛ばす。
3 ついで、被疑者は裁判所で略式命令の謄本を交付される。
 「検察庁に行ったら、検察官と裁判官の間で手続があって、罰金の命令がでますから、それを裁判所に受け取りに行くことになります」
くらいの説明になろうか。
4 そして、罰金の仮納付をすることが通常であるので、
 「裁判所から、検察庁にもう一度戻っていただいて、罰金を支払ったら手続は終わりで、帰っていただいてよいです」
との説明をすることとなろう。

もちろん正式裁判の請求ができることの説明も必要である。
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by lodaichi | 2009-08-03 08:48