3年目くらいまでの弁護士向け実務刑事弁護の覚書


by lodaichi

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裁判員裁判事件について手錠、腰縄問題の運用が定まったことは既に書いたが(→過去記事)
そのほかに
(1)被告の着席位置
(2)着脱式ネクタイや特殊サンダルの借用
の問題がある

これらについては、裁判員本部ニュースにつぎのような記載があった(2009年8月1日号)。

裁判員裁判実施を契機に、被告人の着席位置について進展があった。弁護人の求めがあれば、被告人を弁護人の横に着席させることができる。その際、戒護職員が被告人の横と、弁護人と被告人の間の後方に着席する。
また、被告人自身が拘置所に対し、着脱式ネクタイや特殊サンダル(靴のように見える)の借用を求めれば実現できる体制ができている。
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by lodaichi | 2009-08-31 13:26

手錠腰縄問題

千葉県弁護士会発行の
刑事弁護ニュース第1号
によれば、この問題は次のように決着した。

手錠腰縄問題

これまでの刑事裁判での運用(刑務官が手錠や腰縄姿の被告人を連れて法廷に入り、裁判官入廷後に外す)に対し、裁判員が手錠姿の被告人を裁判員が見ると有罪の印象を抱くとの懸念があり、日弁連が最高裁・法務省と協議した結果、次のとおりとなりました(2009年7月24日付)

裁判所が事前に弁護人に対し、裁判員らの入廷前に手錠と腰縄を外すかどうかを照会し、弁護側が希望し、裁判長が「被告人が逃走や危害を加える恐れがない」などと判断した場合は、以下の運用を許可する。

まず、法廷には被告人が先に入って着席した後、法廷のドア手前で待機している裁判長が内線電話を使い、手錠と腰縄を外すよう書記官に指示。伝達を受けた刑務官によって外された後、直ちに裁判官と裁判員が一緒に入廷する。
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by lodaichi | 2009-08-30 13:36

準抗告模様、それぞれ

押尾事件で保釈決定に対し、検察官準抗告がでたので、それに関連してブログのほうでもいろいろ参考になる記事が出ている。

保釈請求から保釈決定に対し、検察官準抗告がでて、午前2時にようやく釈放指揮決定がでたケースについて、ライブ感あふれる文章で紹介されたもの(刑事弁護はかくありたい)
弁護士Barl-Karth先生のブログ
http://d.hatena.ne.jp/Barl-Karth/20090828#1251480219

元裁判官のブログで、裁判官時代に準抗告をされたときの恐怖を物語る(弁護士からは裁判官の本音はきけないだけに参考になる)

銀座のマチ弁(弁護士遠藤きみのブログ)
http://d.hatena.ne.jp/tamago2/20090829#1251495285
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by lodaichi | 2009-08-29 07:58

検察官の保釈意見の実務

 保釈請求の手続の流れがわかっていない人もいるかもしれないので、確認。

 弁護人からの保釈請求(裁判所に対して)

→裁判所は検察官に求意見
 刑訴法
 第92条 裁判所は、保釈を許す決定又は保釈の請求を却下する決定をするには、検察官の意見を聴かなければならない。

→検察官の意見が裁判所に戻ってくる(即日戻ることはほとんどない)

→裁判官の決定(その前に弁護人と裁判官面接をする場合が多いが、面接をしない扱いの裁判所もある)


初めて保釈をする場合、検察官への求意見があることを忘れている(知らない?)人がいるので、要注意。
検察官の保釈意見は、裁判所に到達すれば、閲覧謄写対象になるので、保釈請求が却下されて(準)抗告する場合は、要チェックである。

検察官の意見の出し方について
弁護士 落合洋司 (東京弁護士会) の 「日々是好日」
で紹介されていたので、参考になる。
ご参照いただきたい。
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by lodaichi | 2009-08-28 06:27
裁判員対象事件を担当する弁護人は、最高裁量刑検索システムで量刑傾向を把握する事が不可欠です。

設置場所:裁判員裁判実施庁
(千葉地裁なら本庁のみ)
利用可能時間:原則、裁判所の窓口業務取扱時間

利用は、裁判員裁判対象事件の弁護人となった場合に限られます。
検索結果は、プリントアウトして持ち帰ることができます。
プリントアウトした資料は被告に閲覧させることはよいが、交付はしないようにというのが裁判所の要請です。

この検索システムには、2008年4月以降に第一審判決が宣告された裁判員裁判対象事件しか入力されていません。
それより前の事件情報はこのシステムでは把握できない為、情報量が現時点では少なく、統計的処理をすることができない場合もあるものと思われます。
また、このシステムのデーターから判決原文にあたることができないので、システムに入力された事件の量刑を記録にあたって確認できないという限界があることは、ふまえておいた方が良いでしょう。
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by lodaichi | 2009-08-27 11:20
前回、国選弁護人が保釈請求する事について考えてみたが(→過去記事)、別の角度からも考えてみよう。

保釈請求というのは、そんなに手間のかかるものか?という問題だ。

国選アンケートで”1万円という安い費用では、もう2度と保釈請求をやりたくない”という声があることは、前回指摘したが、これには保釈請求は結構手間がかかるのにという前提があるような気がする。

しかし、保釈請求にそんな手間がかかるだろうか。
もちろん、それなりに手間はかかるが、通常の弁護活動の範囲内の事を行うのであって、特別に難しいことをやるわけではないから、そんなに手間はかからないと私は思う。

保釈請求をするには
保釈請求書
の提出は必須であるが、実務では
身柄引受書
の提出も求められる。

身柄引受書は、定型的なものに親族などにサインしてもらうだけだし、保釈請求書もそんなに難しいものを書く必要がないケースも多いだろう。
法律上の原則からいえば、保釈の請求をするということだけ書けばよいのだから、書面ではあっさり書いて、裁判官面接で内容を話したってよいはずだ。

いずれにせよ、負担を軽減する工夫をすべきは弁護人であって、負担が大きいから請求しないというのは、主客が転倒してしまっている。

保釈請求率は
2003年 24.9%(戦後最低)
2006年 29%
2007年 27.7%
2008年 27.7%
と停滞状況にある。

請求をする以前に、弁護人のあきらめが勝って、弁護人が被告を説得するような状況があると思われるが、保釈が被告の権利である事から、常に保釈請求の可能性を検討する弁護が求められる。
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by lodaichi | 2009-08-26 10:32

国選弁護人の保釈請求

今回も、千葉県弁護士会の国選緊急アンケートに寄せられた声から考えてみたい(同アンケートについては→過去記事参照)。

保釈に関してこんな声があがっていた
「報酬が安い-保釈手続きをしたが”1万円”では、もう2度としたくないと思った」

国選弁護人が保釈請求の手続きをすることの報酬が1万円しかつかないので
①1万円という費用は安すぎるし
②1万円という費用がかわらなければ、保釈請求はやりたくない
ということであろうと思われる。

①については、国選弁護報酬の問題であるから、今後検討されてよいと考えるが②の考え方には同意できないし、このような考え方はすべきではない。

②の考え方からは、こんな考えがベースにあるのではないか
”そもそも保釈にはお金がかかるんだから、国選で保釈請求をするなんてありえない=保釈請求するなら私選を頼むべきだろう”

だが、このような考え方は正しくない
国選は、資力要件を満たせば選任されるわけだ。
被疑者本人にお金がなくても、被疑者の親族などと今後の更生について弁護人が話していくうちに、親族側が保釈金であれば出してあげるということは、十分ありうることだし、私も法テラス設立以前のケースであるが、何件か経験している。

親族側からみれば
弁護士費用
というのは返ってこないが
保釈金
は返ってくるものである
という受け止め方がなされるはずである。

私選弁護の費用は、どんなに少なくとも20~30万はかかるであろうから、これだけの金を支払うということはかなり抵抗感のあることだろうと思う。

保釈金は被疑者本人が逃亡しなければ返ってくるものであるから、親族側からすれば、本人を信頼して保釈金を立て替えてもいいかという考えは通常ではないか。

そうだとすれば
”保釈請求をするなら私選を選任するべきだ=国選で保釈請求なんてありえない”
という発想にはならないはずである。
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by lodaichi | 2009-08-25 13:46

国選の謄写費用の問題

国選の謄写費用がいかに国選弁護人の負担になるかについて
弁護士木下の国選弁護制度&裁判員制度のページ
で書かれています。

長いですが、わかりやすくは書かれていますので、この問題を知らない弁護士・修習生は是非読んでおいてほしい。

【国選報酬】 謄写費用 (1)

【国選報酬】 謄写費用 (2)

【国選報酬】 謄写費用 (3)

【国選報酬】 謄写費用 (4)

【国選報酬】 謄写費用 (5)
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by lodaichi | 2009-08-18 07:17
被疑者国選が5月21日に拡大したことをうけ、弁護士会が各弁護士にアンケートをとったその結果が配布された。

自由記入欄には、弁護士の色々な考え方が書いてあって、興味深い。

その中で、こんなのがあった。
「被疑者国選の被疑者が事実を認め、示談等の要素がない場合、起訴を待つのみとなるが、これはやむをえないことか?」

具体的にどういう事件を念頭においてこう書かれたのかは分からないが、例えば、覚せい剤の自己使用罪だった場合で、はたして”起訴を待つのみ”でよいのか考えてみよう。

この弁護士だったら
被疑事実として
「被疑者は平成○年○月○日ころ、○市の自宅内において覚せい剤を自己使用した。」
と書かれているが、間違いないのかねと初回の接見で聞き
「はい、間違いないです」
と被疑者から答えがあると、もうそれ以上やることはないから
・覚せい剤の自己使用だから示談をすることもないし
・自己使用だから起訴されてしまうのは必至だし
ということで、これ以上やることがないから、起訴を待つか
という発想になるのであろう。

しかし、それは全く頭が働いていない証拠である。
やるべきことは、それこそ沢山あるので、書き始めたらきりがないから、考えるヒントだけ書いておく。

・被疑事実は、本人が間違いないといっているが、本当に間違いがないのか。使用をした事が間違いないとしても、日にちは記憶違いということもあるのではないか。
・違法な捜査手続きはなかったのか。特に採尿手続。逮捕手続。
違法な取調べはないか、利益誘導されて自白しているということはないのか
・今後も違法な取調べがないとはいえないから、接見を重ねて捜査を監視する必要はないのか。

被疑事実について、パッと考えついただけでも、以上の点はきっちり聴取しなければならない。
情状面を含めたら、さらに色々なことがきける。

それなのに「起訴を待つ」ことでよいのだろうか。

この弁護士は、アンケートで自分の弁護に疑問をもっているだけまだましだ。
確信的に「起訴を待つ弁護」をしている弁護士はまだまだ相当多いに違いない。
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by lodaichi | 2009-08-12 15:52
以前、
略式罰金の手続(在庁略式)という記事を書いた。

これは、勾留されている事件で、略式手続が利用される場合である。

これとは別に、在宅事件で略式罰金が行われる場合があるが、手続が少し違うので、注意が必要である。

在宅事件で略式罰金といっても、
1 初犯の酒気帯び運転罪で罰金というようなケースと
2 自動車運転過失傷害
のようなケースでは処理の方式が異なる。

1の酒気帯び運転のようなケースでは、
 三者即日処理方式
で進められる。

 三者即日処理方式とは,道路交通法違反及び自動車の保管場所の確保等に関する法律違反(以下「交通違反」)により,警察官から交通切符の交付を受けて出頭日時・場所を告知された人について,
警察の取調べ
検察庁の取調べ
裁判
罰金の納付
  を1日で行う処理方式である(検察庁のHP)。


 これに対して、2の自動車運転過失傷害のようなケースは、1日では行われず、
 ア 検察官は所定の捜査が終わった時点で被疑者の同意をとって略式起訴
 イ 裁判所もそれを審理してから略式命令を出す(起訴当日にはでない)
 ウ 略式命令は被疑者(この時点では被告人だが)に送達される
 (ここで初めて被疑者は裁判所で略式命令の手続が進んでいたことを知る)
という流れになる。

 このように略式罰金といっても、いろいろな処理方式があるので、この違いをしって依頼者に適切にアドバイスすをすることが必要である。
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by lodaichi | 2009-08-11 08:42