3年目くらいまでの弁護士向け実務刑事弁護の覚書


by lodaichi

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朝日新聞より
容疑者引き渡し条約など、締結へ交渉開始合意 日中外相

見出しでは、「犯罪人引き渡し条約」の方がクローズアップされているが、私の注目は、受刑者移送条約のほう。

まだ、「締結」ではなく、「締結交渉を始める」だから、締結までは時間がかかるのかもしれない。

中国との受刑者移送条約締結の意義については、下記記事の引用参照。

中国人受刑者は07年末現在で外国人受刑者の約3割を占める。移送条約が結ばれれば、日本の刑務所の負担軽減につながり、母国での服役で中国人受刑者の社会復帰を促進することもできるという。また、引き渡し条約の締結で犯罪捜査の迅速化を図ることができる。

受刑者移送条約については→過去記事
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by lodaichi | 2009-02-27 20:44

牽制と準抗告

事務所の弁護士が勾留決定に対して準抗告をし、準抗告審で、原決定取り消し、検察官の勾留請求を却下するとの決定がでた。

正直、勾留請求却下になるかは微妙だと思った。
念のため、勾留場所を警察署にするのは違法であるとの予備的な請求をいれさせたくらいだ。

私自身が申し立てたものでも、勾留請求却下の決定は2件ほどしかない。

だから、多くの準抗告は、結果としてみると認容されない。

しかし、そうだからといって、準抗告をためらうのは間違いである。

準抗告は、野球でいう牽制球のようなものだと思う。
牽制球それ自体でランナーを刺せることは少ないが、牽制をすることでランナーを塁からあまり離させないようにするのだ。

準抗告も一緒で、準抗告それ自体で原決定を覆せなくても、準抗告をすること自体で、その後の検察官の勾留請求や裁判官の勾留決定を牽制する効果があるというべきである。

刑事弁護人としては、機会をとらえて準抗告を行っていただきたい。


参考 過去記事 勾留に対する準抗告
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by lodaichi | 2009-02-26 17:08

回付

 事務所の弁護士から、「回付」について相談された。

 一般的に、事務所に入った当初の弁護士は、何を相談したらいいかがわからないので、相談すること自体が少ないか、相談自体がピントはずれというようなことも多いが、鍛えられるに従って、なかなかいい質問をするようになるものだ。
 
 この「回付」というのも、刑事訴訟法の教科書には載っていないようである。
 が、司法協会からでている、刑事訴訟法広義案にはさすがに「回付」のことも載っている。

 回付の内容は、次の最高裁判例を見ればわかっていただけるだろうから、興味のある方は各自目を通していただきたい(「移送」との異動について要チェックのこと)。

最高裁昭和44年3月25日決定→PDFファイル

刑事で回付となることはあまりないことである。

 もともと支部事件であったものを本庁の事件にするということであるが、事件が大きくなると本庁処理になるようにしているのは、検察庁の方針であろうか。
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by lodaichi | 2009-02-24 21:56
 以前、起訴議決制度という記事を書いたが、それに関連して、弁護士会から、『審査補助員』及び『指定弁護士』の募集の案内が来たことを紹介しておく。

 以下、『審査補助員』及び『指定弁護士』がどういうものかを理解する上で役に立つので(報酬についても)、主要部分を引用しておく。

平成21年1月28日
会員各位
千葉県弁護士会 会長 

審査補助員募集のお知らせ

拝啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
さて、本年5月21日より、改正検察審査会法に基づき、検察審査会に『審査補助員』及び『指定弁護士』として弁護士も関わることになります。
新制度のもとで、審査補助員や指定弁護士については、千葉県弁護士会の推薦に基づき検察審査会の委嘱がなされることとなっています。
『審査補助員』とは、簡単に言うと、検察審査会が審査を行うにあたって法律に関する専門的な知見を補う必要があると認めるときの説明要員です。
法令の適用・解釈に疑問がある事件や証拠関係が錯綜していて事実認定に問題がある事件において委嘱されることが想定されています。
審査補助員は求められたときに助言を行い、説明及び整理をすることが求められているという、あくまでも補助者の立場です。
『審査補助員』は事件ごとに1名委嘱されます。報酬については、最高裁において決定することになっており、未定の段階ではありますが、
「一般職の職員の給与に関する法律」の「非常勤職員の給与」が準用され、「勤務1日について3万5300円(その額により難い特別の事情があるものとして人事院規則で定める場合にあっては10万円)を超えない範囲内」と想定されています。
一方、『指定弁護士』は、起訴相当・不起訴不当という結論を審査会が出した際には、検察官の職務を弁護士が行うというものです。
具体的には、検察官と同様の補充捜査権限を持ち、公訴の提起、公判の維持についても責任を負います。

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by lodaichi | 2009-02-24 13:05

弁護士の説明能力

 今の時代にあって、弁護士に必要とされる能力の一つとして、説明する能力があげられる。

 特に、依頼者との間でコミュニケーションすること、依頼者から事実を聞くこと、依頼者に決断を促すということは、弁護士が有する特異な機能であると言ってもいいだろう。

 ”銀座のマチ弁(tamagoのブログ) ”さんは、元訟務検事、元裁判官の方で、現在弁護士をされている方のようであるが、依頼者とのコミュニケーションについて以下のようにブログに書かれており、とまどいを覚えている事からも上記のような弁護士の機能は独特なものであり、これを身につけることが弁護士の必修科目であることがお分かりいただけるかと思う。

 以下、銀座のマチ弁(tamagoのブログ)
一般の方々と話をする際留意しておかなければならないことより引用

 訟務検事をしていた時,打合せの席で相手にする方々は,各行政庁の訴訟担当者だった。
 法廷で説明する相手は,裁判官と相手方の弁護士さんたち(たまに当事者ご本人)だった。

 裁判官をしていた時,訴訟事件では,ほとんど弁護士
 家裁の調停では,時々ご本人とお話することも
 といった状態で,話しの相手が,私の話の内容を全く理解できていないようで困ったという記憶は全くない。

 ところが,弁護士になって,法律問題は全く初めてという方々と法的な紛争について,話をするようになってから,一般の方々と話す時は,その相手の方の基礎知識がどの程度なのかということを考えて話をしないと,せっかくの説明も全く理解してもらえないということに気付くとともに,何もかもよく分かっておられるとばかり考えていた方が,余りよくわかってはいなかったということが判明したということがこれまでに度々あって,その都度驚くとともに,反省を重ねてきた。

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by lodaichi | 2009-02-23 21:11
損賠訴訟:「行列」出演弁護士事務所、依頼放置で賠償命令--東京地裁

今回は、刑事弁護の話題ではない。
当事務所でも、破産申し立て事件は誰もがやっているところではないし、申し立ての遅滞について注意を喚起する意味で、上記記事を引用しておく。

上記訴訟で原告となった管財人のコメント
「当然の判決。受任から数カ月で申し立てるのが普通だ。」
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by lodaichi | 2009-02-14 15:12

反対尋問

刑事弁護事件の反対尋問について、新人弁護士から質問を受けた。

技術的なことは、文献が教えてくれる時代であるから、抑えておくべき文献を読んでもらえばよい(もっとも、それを体得するには経験を要するが)。

マインドとして、大切なことは何かと考え、こうアドバイスした。

「大切なことは、証人がどう答えるか、その人になりきるくらいのいきおいで記録を読み込むことではないか。
主尋問でどう答えるかだけではなく、その人の経歴や心情など、できるだけその人に肉薄すること」
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by lodaichi | 2009-02-12 18:23

大阪弁護士会の試み

大阪弁護士会が、刑事弁護でおもしろい試みを始めるそうである。

弁護士の成果に“光” 大阪弁護士会、会報に名前公表
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by lodaichi | 2009-02-08 08:55

医療観察法の施行状況

重大犯罪犯した心神喪失者、入院先の整備進まず

似たような記事を見たことがあるなあと思ったら、
 2008年6月18日夕刊でも
 殺人や強盗など重大犯罪で収容、精神障害者病床が不足
という記事がでていたのだ(2008年6月19日のブログ参照

 ネット記事ではわからないが、2009年1月31日日経新聞によるとデータとして重要なところは以下のとおり。

・厚生労働省は、全国に720床を確保する計画
・しかし、指定済みは437床で6割にとどまる(2008年6月19日の記事では「現在十五カ所計三百八十七床にとどまる。」となっていたから、その時点からは50床増えたこととなる)
・2008年11月1日までの
 入院決定件数=666件(昨年の記事では、「三月末には三百九十九人」とされていた)
 退院許可=244件

 666-244=422
だから、437床ではぎりぎりの状態で回していることになる。
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by lodaichi | 2009-02-02 20:35

面倒見

 警察には、面倒見(めんどうみ)というものがある。

 面倒見のうち、喫煙を中心に、落合弁護士が書いているので参考になる→落合弁護士のブログ

 日弁連の報告書だと
 ”面倒見という不当な利益誘導によって、虚偽の自白を強要する事例がある。
 面倒見の具体例としては、喫煙、馬券の購入、飲食の提供、家族への連絡などがある。”
と書いてあるだけでそっけない、というかこれでは何のことやら実感としてわかない。
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by lodaichi | 2009-02-02 20:12