3年目くらいまでの弁護士向け実務刑事弁護の覚書


by lodaichi

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日経ネットより
受刑者移送条約、タイと年内締結へ

 受刑者移送条約については→過去記事
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by lodaichi | 2008-07-30 20:01
元・女子刑務官 Blogで、裁判員制度:被告にネクタイと靴着用認める 法務省方針という記事がとりあげられていた。

女子の刑務官さんからの指摘で、いつも教えられるところが多いブログだ。

今回は、
男性がネクタイを着用しないことが裁判員に対する印象を悪くするのであれば、女性がスッピンのままでいることも裁判員に対する印象を悪くするんじゃないの?
確かに化粧水と乳液は自弁だけど拘置所内で使えるよ。でも、ファンデーション塗ったり、口紅をつけたりといった社会人として当たり前の化粧はできない。

たしかに裁判員制度を適用されるような重大な罪に問われているっていうのはあるけど、女子の被告が女性としての心まで失っているわけじゃない。
公判の時にはせめてよそ行きをということで、公判の日にあわせてよそ行きの服を仮出し・領置していた女子の被告も見てきた。

日弁連は全く持って女性の気持ちなどわかりもしない連中の固まりなのだろうかと思う。


というところが、なかなか男性にはわからないところだと思った。

 ところで、ちょっと待って欲しい。
 日弁連だけが槍玉にあがっているが、それはちょっと違うだろう。

 確かに、今回の措置は日弁連からの要請を受けてのものである。

 しかし、措置を決めたのは、法務省である。

 日弁連が、男性側の視点から要請しようが、それを受けて、法務省が女性側の視点も加味して今回の措置を決めたというならともかく、法務省だって、女性の化粧の問題も素通りしてしまっているんだから、法務省側も等しく日弁連と同じ責任を女性に対して負うのでは?

 それから、同ブログでは、弁護人の横にも被告人の着席を認めることについて
日弁連は「刑務官に挟まれ意思疎通が困難」との指摘をしたが、仮監で弁護士面会もできるのに何を言ってるんだと言いたい。
とされているが、弁護人と被告人との意思疎通について、ご理解をいただきたいところだ。

 たしかに、、仮監で弁護士面会はできる。
 しかし、法廷では想定外のことがおこることはあるし、すべてのことを網羅して打ち合わせしておくのも難しいものだ。
 その場で、「この場合、弁護人としてはこうしたいけど、被告人としてはどう考えているかな」ということで、コミュニケーションをとりたいことはある。
 逆に、被告人から、証人尋問などを聞いていて、弁護人に「ここを聞いて欲しいんだけど」という要請をしたいときもあるだろう。

 元刑務官さんは、法廷内での逃走防止とかそういうことをメインで考えているんだろうし、それはそれでわからなくはないが、弁護人側の事情もあるのだ。




 
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by lodaichi | 2008-07-24 06:41

期日の変更(刑事事件)

 民事はわりと期日の変更がきくが、刑事事件もそれと同じと思ったらいかんのである。

 刑訴法だけ見ると 
第276条 裁判所は、検察告、被告人若しくは弁護人の請求により又は職権で、公判期日を変更することができる。
と書いてあるから、なんだか簡単に変更してもらえるような気になるが、刑訴規則まで見ないといけない。

 刑訴規則182条というのがあって、
表題が
(公判期日の不変更・法第二百七十七条)
と「不変更」をうたっている。
 
 条文は、 
「裁判所は、やむを得ないと認める場合の外、公判期日を変更することができない。」
となっている(1項)

 で、2項で
 「裁判所がその権限を濫用して公判期日を変更したときは、訴訟関係人は、書面で、裁判所法第八十条の規定により当該裁判官に対して監督権を行う裁判所に不服の申立をすることができる。」
となっているくらいだから、裁判所は変更というのがそうそうできないのである。

 変更の請求をしなければならないときは、規則179条の4というのが用意されていて、
 「訴訟関係人は、公判期日の変更を必要とする事由が生じたときは、直ちに、裁判所に対し、その事由及びそれが継続する見込の期間を具体的に明らかにし、且つ、診断書その他の資料によりこれを疎明して、期日の変更を請求しなければならない。」
というように、疎明が要求されている。

 また、私選か国選の場合かで違うが、そのほかの手続きも要求される。
  
 国選だと
 規則179条の6
  法の規定により裁判所若しくは裁判長又は裁判官が付した弁護人は、期日の変更を必要とする事由が生じたときは、直ちに、第百七十九条の四第一項の手続をするほか、その事由及びそれが継続する見込みの期間を被告人に知らせなければならない。

 というように、期日の変更はいちいち面倒なのである。
 
 
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by lodaichi | 2008-07-16 20:47

更生保護法

 刑事政策は、司法試験科目でなくなってしまったので、新人弁護士君や修習生と話していても、刑事政策的な知識が全く無くて、絶句する経験が増えた。

 かくいう私も刑事政策は、大学の講義でもとったことはないし、司法試験の受験科目としてもとっていなかったので、えらそうなことはいえないのであるが、刑事弁護を始めてから、教科書を買って勉強したくらいであるから、そのくらいのことはしてほしいものである。

 ところで、この間三庁の協議会で、緊急更生保護の話が出ていたようであるが、その言葉自体すらわからないようであったんで、これが現状では当たり前なのかと思ったしだいである。

 更生保護法はいろいろ改正があったところだが、一度法律を眺めていただきたい
更生保護法

 更生緊急保護は85条から。
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by lodaichi | 2008-07-13 11:35

国際受刑者移送法

 外国人で実刑判決を受けた者から、「控訴は諦めて刑務所に行くとなったら、途中で自分の国の刑務所に移送してもらえるんだろうか?」と聞かれた場合の弁護人の対処法

 受刑者移送制度について説明すること
 受刑者移送制度とは,外国において刑の言渡しを受けその国の刑務所で服役する受刑者をその母国等に移送し,その国で刑の執行を行うことにより,受刑者の改善更生及び円滑な社会復帰並びに刑事司法分野の一層の国際協力を図ろうとする制度である
 この図表がわかりやすい→こちら

 もちろん上記質問に対する回答としては”送出移送”について説明しなければならない。

 送出移送がどれだけされているかについて、「罪と罰」平成20年6月号に「施行から5年を迎えた国際受刑者移送法」という小論文が載っていた。
 
 平成16年 7件
 17年 12件
 18年 16件
 19年 44件
これまで送り出した国数 14カ国

なお、受刑者移送条約の締約国数は63カ国だそうだ。
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by lodaichi | 2008-07-11 17:53
 無期懲役の仮釈放者の平均服役期間についての記事が出ていた
日経ネット

04年時点で25年10カ月
05年で27年2カ月
06年で25年1カ月
07年で31年10カ月

 無期懲役の説明にはこの統計をつかった方がよいだろう。
 刑法の条文では、法律にそう書いてあるというだけの説明になってしまう。
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by lodaichi | 2008-07-07 20:17

被疑者弁護について

 弁護士 Barl-Karth先生から、「記録がないから被疑者と話すことがない?」の記事にコメントいただいた。

 先生の考えは、
 ”被疑者段階では,「弁護人から被疑者に聞く」よりも「被疑者から弁護人に聞く・被疑者に色々教えてあげる」ということの方が大事でしょう。”
というものであった。

 う~ん、そうか。
 そういう考えもあるかと思った。
 
 が、やっぱり新人弁護士君には、「被疑者に色々教えてあげる」と教育するのは難しいのではないかなと思う。

 被疑者が知りたいことは、刑事訴訟法の知識というよりは、実際上の事柄(例えば、自分は執行猶予なのか実刑なのか)のほうが多いような気がするし、新人弁護士君には、被疑者に積極的に聞いて来いと私としてはやはり言いたい。

 その中で、いろいろな会話があって、コミュニケーションができてくれば、自ずと先生ご指摘の点もできてくるのではないかと思う。
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by lodaichi | 2008-07-01 20:21

MDMA持込の量刑

 MDMAの密輸事件(千葉では結構この種事案がある)

2008年7月1日 共同通信による

懲役11年、罰金300万円(求刑懲役13年、罰金450万円)

 MDMAなど合成麻薬計約1万8000錠の持込み事案
 
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by lodaichi | 2008-07-01 19:54