3年目くらいまでの弁護士向け実務刑事弁護の覚書


by lodaichi

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弁護士の就職難などといわれているが、いわゆる弁護過疎地ではまだ弁護士が足りないともいわれている。

 結局、これは弁護士の都市への集中という現象の表れにすぎないのではないか。

 弁護士の仕事が足りないなどといわれているが、私に言わせれば、依頼者の満足を得られるような仕事のできる弁護士が足りないのであって、「仕事がない」などと考えている修習生及び弁護士はそこを考えるべきだ。

 つまり、弁護士の仕事が足りないかどうか心配するのではなく、
 自分の力量が依頼者を満足させるに足りる技量なのか
 日々、そのような勉強をしているのか。

 一部のブログ(特に、いまだ修習生にもならないもの)をみていると、弁護士になれば楽勝かのように考えてこの道を目指したかのように書いてあるが、そんなことは以前もなかったのである。
 そんな考えは、幻想にすぎない。

 弁護士1年目、2年目は、起案をどう書いていいか、いろんな書籍を並べて、苦吟して、夜も寝ている間に考えて、そのために早く床についたものの、午前2時とかに早期覚醒して、眠れないからやおら起案をはじめ、しらじらと夜が明けるのを待つというくらいの努力をしてもいい(あまりやりすぎると体をこわすが)。
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by lodaichi | 2008-01-31 06:57
 警察捜査における取調べ適正化指針がでた(→警察庁の発表PDFファイル

 警察の取調べを別の警察官が監視するということだが、弁護人はここにあげられた項目を参照して警察の取調べを監視しなければならない。
 被疑者・被告人を通して聴取しなければならないから、実際に取調べを見て監視する以上に難しい。
 弁護人の役割は重い
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by lodaichi | 2008-01-29 07:00

検察審査会の見直し

 最高裁が検察審査会の配置の見直しを検討しているという報道です(記事を引用しておきました)

 2009年5月までに検察審査会の議決に拘束力が認められるようになり、それに伴って、弁護士の役割も大きくなります。
 この点については、過去にも書いたものがあるので、そちらを参照のこと
交通事故ブログの過去記事

検察審査会、201カ所から165カ所に見直し方針
2008年01月21日19時46分

 くじ引きで選ばれた市民が参加して、検察官による不起訴処分が妥当かどうかを検討する「検察審査会」について、最高裁は21日、現行の201会から165会に統廃合する方針を発表した。審査の申し立てがほとんどない50の審査会を廃止する一方、申し立てが多い都市部には14増設し、不均衡をなくすのがねらいだ。

 48年に施行された検察審査会法は全国の審査会数の下限を200と定めていた。最高裁は、04年の法改正で下限が撤廃されたのを受け、申し立ての実情にあわせた統廃合を検討してきた。

 廃止するのは、過去20年の平均で申し立てが年間1件未満の審査会。離島の審査会は住民の便を考えて残すことにした。

 一方、過去5年の平均で年間40件を超える審査会がある場所は原則として増設する。横浜地裁の審査会では年間平均137件の申し立てがあったため、2会増やして地裁内に3会を置く。現在2会の東京地裁は6会に、大阪地裁も2会から4会にそれぞれ増やす。

 廃止により、選ばれた審査員がこれまでより遠くの裁判所施設まで足を運ばなければならないことも出てくる。その一方で最高裁は、廃止される会の管内から審査員に選ばれる確率が低くなるうえに、審査員に選ばれた場合には申し立てがないため審査に携われない状況が解消されるメリットがあるとしている。申し立てる側については、書面の郵送で申し立てられるため、利便性への影響はないという。

 各地裁が今後、この方針を地元の弁護士会や自治体に説明する。改正法の施行時期は09年5月までに政令で定められる予定で、実際の統廃合もそのころになる見込みだ。

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by lodaichi | 2008-01-27 08:20
 サンダーバード強姦事件の判決が出た。
 高次脳機能障害ではないかという疑いがあったケースだ(下記記事を参照のこと)。
 
 「高次脳機能障害」を知らない刑事弁護士は多いかもしれない。
 交通事故事件でも、特殊といわれるような知識だ。

 しかし、知っておいて損はない、というか知っておかなければならない。
 高次脳機能障害に限らず、精神科的な知識は必須であり、折に触れて勉強すべきだ。

 ところで、この事件はとんでもない事件だ 
 「被害者の恐怖感、甚大」。まさにそのとおりだろう。
 それは、刑事弁護人でも同じように感じるだろう。
 しかし、そう弁護士個人が考えたとしても、刑事弁護人の役割はひとつ。
 被告人の弁護である。
 
 そのためには、全知識をつかって、主張立証をしていかなければならない。
 本件の弁護人は、高次脳機能障害を主張した。
 弁護人として非常にすぐれた主張だと思う。

 情状鑑定を実施させたところも弁護活動としては評価できる。

 一審判決ではその主張は認められてはいないが、求刑25年からかなり言い渡し刑が下がっているところをみると、弁護人の主張は一定の成果があるとみるべきではないか。

以下、読売新聞より引用(ただし、被告人名は伏せた)

「被害者の恐怖感、甚大」…特急内暴行男に懲役18年

 JRの特急電車内などで女性を暴行したとして、強姦(ごうかん)罪などに問われたU被告(36)の判決公判が17日、大津地裁であり、大崎良信裁判長は「規範意識が低く、自己抑制力の乏しさは深刻。公共交通機関の中で強姦された被害者の精神的打撃、恐怖感は甚大だ」として、懲役18年(求刑・懲役25年)を言い渡した。

 判決によると、U被告は2006年8月3日夜、JR北陸線の特急車内で、20歳代女性に「大声を出すな。殺すぞ」などと脅し、車内のトイレに連れ込んで乱暴。同年12月21日夜には、JR湖西線の普通電車内と雄琴駅のトイレで女性2人を暴行した。

 この事件を機にJR西日本は、車掌らの車内巡回を強化。非常通報ボタンを周知するため、大型のステッカーを在来線の全約5300車両に張ったり、駅構内に防犯カメラを増設したりする再発防止策を講じた。

 公判で、検察側は「多数の乗客らがいる中で自らの欲望を満たすために犯行に及んでおり、極めて悪質。市民が安心して公共交通機関を利用できるよう厳罰で臨むことが不可欠」と主張していた。

 これに対し、弁護側は「16歳の時に起こした交通事故の後遺症で衝動が抑えにくく、犯行に影響した」などとして情状鑑定を請求。しかし、植園被告は過去に覚せい剤を使用しており、鑑定医は「薬物(覚せい剤)や性格による影響が大きい」とする鑑定結果を出し、地裁が証拠採用していた。

(2008年1月17日 読売新聞)

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by lodaichi | 2008-01-24 07:35
 最近の刑裁修習を聞いたら、その弁護士の刑裁修習は、全件傍聴であり、事前に配付される資料としては、起訴状だけということであった。

 「では、第1回公判前に裁判所にある記録には何があるのか」
とその弁護士に尋ねたところ、
 「起訴状」
という回答だけであった。

 おそらく、そう考えている弁護士は多いのではないか。

 なぜなら、「起訴状一本主義」という概念にとらわれているからだ。 
 「起訴状一本主義」という講学上の概念だけでわかったような気になっていないか。

 それと実際の記録をみようとしないからだ。
 知った気になってしまって、裁判所に足を運ばないからだ。

 第1回公判前に裁判所の手元にある記録には、弁護士が知らないものが含まれている。

 慣れるまでは裁判所に足を運んで、その記録を見るべきだ。

 何があるのかは、ここではあえて言わない。

 修習生は、刑裁修習でこういうところをよく学んでほしい。
 
 
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by lodaichi | 2008-01-22 08:52

接見と面会接見

 この間、弁護士と接見と面会接見の相違について議論していたところ、よくわかっていないようでしたので、書いておきます。

 接見は、秘密交通権が保障されているもの
 面会接見には秘密交通権がありません

 この区別をおさえておいてください。
 面会接見概念を創出した最高裁判例について過去に記事にしたことがあるのでそちらも見ておいてください(→こちら

 面会接見については、検察庁の庁舎内での面会接見に検察官及び検察事務官が立ち会ったことを違法とした事例(名古屋地裁平成18年10月27日判決)があり、実際に活用しているケースもでてきているようです(同判決はこちら)。
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by lodaichi | 2008-01-20 21:24

医療観察法

 修習生のときに、医療観察法は勉強するんでしょうか?
 勉強していたとしてもさわりだけなんだろうと思います。
 そうだとすれば、弁護士になってから勉強していただかないといけません。

 医療観察法は、正式名称を
  心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律
といいます。

 模範六法では、全文がでていませんので、でてこない条文は、ネットで確認してください(→こちら
 
 概略については、以前記事にしたことがあるので(→こちら)、そちらを参照してください。
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by lodaichi | 2008-01-18 06:45
 先日、ある弁護士から、
 「覚せい剤使用罪における除外事由の証拠って最近検察官から証拠請求されないんですかね」
という質問を受けた。

 確かに、従来は、覚せい剤使用罪における除外事由の証拠(被告人が除外事由を有していないことの厚生労働省などの証明書)が証拠請求されていた。
 
 なぜ、今は請求されなくなったのか。
 つまり、除外事由が無いことについては、被告人の自白だけでよいのか、自白の補強法則の
適用は無いのかということだ。

 調べたところ、東京高裁平成17年3月25日(東高時報(刑事)56・30)というのがあるのがわかった。

 結論としては、除外事由が存在する旨の主張があったときは、裁判所は判断しなければならないが、その主張が無い場合は、判断を示す必要が無く、覚せい剤使用罪における法定の除外事由の不存在について、被告人の自白を補強する証拠を判決で挙示する必要は無いというものである。

 検察官は、この判決にのっとって証拠請求しなくなったものであろう。
 
 弁護人としては、証拠請求されないのだから、疑問があれば証拠開示を検察官に働きかけるということになろうか。 

 
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by lodaichi | 2008-01-16 19:57
 先般、弁護士と国選付添人について議論していたら、
  少年法改正法が2007年11月から施行されていること
がわかっていないようでした。

 この改正で国選付添人は、22条の3が次のようになりました。
  (国選付添人)
第二十二条の三  家庭裁判所は、前条第一項の決定をした場合において、少年に弁護士である付添人がないときは、弁護士である付添人を付さなければならない。
2  家庭裁判所は、第三条第一項第一号に掲げる少年に係る事件であつて前条第一項各号に掲げる罪のもの又は第三条第一項第二号に掲げる少年に係る事件であつて前条第一項各号に掲げる罪に係る刑罰法令に触れるものについて、第十七条第一項第二号の措置がとられており、かつ、少年に弁護士である付添人がない場合において、事案の内容、保護者の有無その他の事情を考慮し、審判の手続に弁護士である付添人が関与する必要があると認めるときは、弁護士である付添人を付することができる。
3  前二項の規定により家庭裁判所が付すべき付添人は、最高裁判所規則の定めるところにより、選任するものとする。
4  前項の規定により選任された付添人は、旅費、日当、宿泊料及び報酬を請求することができる。


 従前は、検察官関与決定があった場合のみ国選付添人がつけられましたが、2007年11月1日からは上記条文のような扱いとなっていますので、注意してください。

 当番弁護士などで少年と接見するときは、以上が一番注意しなければならない点でしょう。
その他の改正法の概要については、こちらを参照してください。
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by lodaichi | 2008-01-14 08:27
 刑事政策関係でもう一つ
 
元・女子刑務官 Blog
こちら
というブログがあります。

 内容を読むと、元刑務官だった方が書いているんだろうなと思います。
 あまり更新されないが、その視点は弁護士としては学ぶところがあるので、ときどき参照すると興味深い
 
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by lodaichi | 2008-01-11 09:05