3年目くらいまでの弁護士向け実務刑事弁護の覚書


by lodaichi

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仮釈放の運用等の改革について有職者会議中間報告(12月26日付夕刊各紙)

 仮釈放の許可及び取り消しは、地方更生保護委員会で行われる(犯罪者予防更生法12条1項)。
 これは、法務省所轄で、全国8箇所の高等裁判所の所在地におかれている。
 申請は、刑事施設の長からの申請に基づいて行われ、地方更生保護委員会は申請を受けて審理をするのが通常である。
 これらはいずれも行政作用であり、受刑者には仮釈放請求権が存在しないので、そのこともあってか弁護士の関与がほとんどないのが実状ではないか。
 少なくとも、私の身近で仮釈放の許可または取り消しに関与したという弁護士の話を聞いたことがない。
 更生保護については弁護士は手薄なところである。
 刑事政策が司法試験科目から外れて久しいが、私が非常勤講師を務めているロースクールでも刑事政策はないとのことである。
 刑事弁護に興味を持つものが少ないのに、さらに公判手続きとは別の分野にまで勉強をするものはさらに少ない。
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by lodaichi | 2005-12-27 07:26
(設問)
 刑事事件の被害者側からマスコミへの対応の依頼を受けた場合、どのようにすればよいか。

(回答例)
 社会の耳目を集めそうな事件については、マスコミが被害者側に取材をするということが起こりうる。
 記者は、「一方の情報だけでなく、反対の側も取材するように」「裏づけを必ず取るように」という訓練を受けているので、警察発表事実の裏づけを取るためまたは、コメントを求めるために被害者側に
接触しようとする。
 しかるに、被害者側は、被害を受けたことだけでもショックであり、できるだけそっとしておいてほしいと感じることが多い上に、マスコミへの対応ということをしたことがないので、マスコミへの応対だけでも苦痛に感じることが多い。
 そこで、マスコミへの対応が必要となる。
 弁護士としては、マスコミに対し、弁護士が窓口になるので直接取材をやめるようファックスすることが可能である。
 このファックスは、各社に対してするのもよいが、記者クラブないしは幹事行宛にファックスすれば、各社に情報がいきわたるシステムになっている。記者クラブないしは幹事行がどこか(幹事行は月によって変わりうる)については、どこか一つのマスコミに電話すれば教えてもらえるであろう。
 もっとも、記者クラブが複数存在するところもあるから、注意が必要である。
 千葉の場合は、記者クラブは、新聞各社及びNHKが組織しているものと民放各社が組織しているものの二つがあり、相互に連絡はとっていないようであるので、マスコミ全社に連絡を取るには、この二つの記者クラブに連絡をする必要がある。
 マスコミは電話で取材してくることが多いが、電話での取材を受けるか否かは弁護士次第である。
 電話取材は各社個別に応対せざるを得ないので、きりがないと思われる方には、記者会見が向いている。記者会見を開く方法としても、前記のようにファクスを活用するのがよいであろう。
 もっとも、記者会見を開く場合、どの程度の情報を提供するかということについては被害者側と打ち合わせておく必要がある。被害者も同席を希望するか否か、同席する場合、画像撮影を許可するのか否か、被害者が同席しない場合は弁護士サイドとしてどこまで情報を話すことが許されるのか否かをよく検討すべきである。

 
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by lodaichi | 2005-12-27 07:23
(設例)
 被告人には、懲役6月執行猶予3年の前科がある。
 今回、法定刑が懲役6月以下の罪で起訴され、被告人が公訴事実を争ったので、起訴からの未決勾留日数が5ヶ月以上に及んだ。
 裁判所は、有罪の心証を抱き、懲役4月、未決勾留日数をその刑に満つるまで算入するとの判決を宣告したが、このとき被告人の勾留はどうなるか
 
(回答案)
 勾留状は失効しないので、勾留取り消しの手続きがとられない限り、勾留される
 (理由)
 勾留状は、無罪、免訴、刑の免除、刑の執行猶予、公訴棄却、罰金または科料の裁判の告知があったときに、その効力を失う(刑訴法345条)。
 よって、実刑判決の場合は、勾留状は当然には失効しない。
 しかしながら、刑に満つるまで未決勾留を算入するのであれば、勾留の理由も必要もなくなったのであるから、勾留の取消し(同法87条)をするのが、相当である。
 筆者が担当した事件では、裁判所が職権で勾留取消請求を行った。
 被告人は法廷から一旦身体を拘束され、拘置所まで戻ったが、午後5時頃釈放された(判決宣告は午後1時頃であった)
 このように裁判所が職権で勾留取消を行うものと思われるが、この点を行うのか否か弁護人としては確認し、場合によっては弁護人が請求することも考えなければならないのではなかろうか。
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by lodaichi | 2005-12-22 19:44