3年目くらいまでの弁護士向け実務刑事弁護の覚書


by lodaichi

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(注) 下記文章は、千葉県弁護士会の会報向けの文章である。同文章中「当会」とは、千葉県弁護士会を意味する。

1 弁護士会事務局において日弁連へ報告する「当番弁護士制度運用状況報告書」7月分から9月分までをもとに、当会の当番弁護士の実状について報告する。
2 受付件数
 2005年7月~9月の当番弁護士の受付件数は以下のとおりである(括弧内は前年同月の受付件数)。
  7月  198件(225)
  8月  202件(186)
  9月  179件(236) 
   計  579件(647)
 7月~9月の合計受付件数は前年比89.4%である。4月~6月が前年比96.7%であったので、受付件数の減少率が拡大した。
 3 受任件数
 受任件数は以下のとおりである(括弧内は前年同月の受任件数)。
  7月  24件(23)
  8月  17件(24)
  9月  13件(25) 
   計  54件(72)
 7月~9月の合計受任件数は、前年比75%にとどまり、これまで拡大又は横ばい状態を続けてきたが、今期は大幅な減少に見舞われた。
 受任率(受任件数/受付件数)をみても、今四半期のそれは9.3%であり、前四半期の11.5%、昨年の受任率12.4%と比べてもダウンである。
 1~9月の受任件数合計は216件であり、昨年同期(223件)よりもダウンしている。今後の展開次第では昨年の受任件数(311件)に届かない可能性がある。
4 外国人、少年
 要通訳事件の今四半期の合計件数は53件で、前年同期の合計(71件)に比べ、減少した。
 少年事件の今四半期の合計件数は34件であり、受付件数比5.9%である。これは、昨年の一年間の少年事件の比率(9.6%)や前四半期(7.3%)と比べても減少している。
5 注目すべきは、連絡の時期の分類で、「逮捕中」が「勾留日決定当日以降」を上回ったことである。
 今四半期でみると、前者は305件、後者は274件である。
 しかし、通知時期が早まったのに、受任件数が増加しないのみならず、受任率も減少するという状態に陥っていることは既に述べたとおりである。
 これが、一時的な状態にとどまるのか否かが問題であるが、いずれにせよ、2006年からは被疑者国選及び私選弁護人紹介制度が開始され、被疑者弁護が制度的により活性化しなければならなくなるのであるから、体制の建て直しが求められると思われる。
以上
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by lodaichi | 2005-10-25 18:43 | 当番弁護士
刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律はこちら
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by lodaichi | 2005-10-25 14:08
1 公判前整理手続とは、第1回公判期日前に受訴裁判所が主宰して、公判において当事者が主張する予定の事実を明示させ、証拠調べの請求をさせ、また、証拠開示もより徹底して行わせる等により十分な審理計画を策定するというものである(田口守一;刑事訴訟法)。
 この手続は、今般の刑事訴訟法改正において新設され、2005年11月1日から施行される。
2 千葉県弁護士会(以下、「当会」という)においては一部支部を除き国選事件における弁護人の推薦を裁判所に対して行っているが、この推薦制度は、基本的には期日をあらかじめ割り当てる割り当て制を採用している。
 しかし、公判前整理手続においては、第1回公判前において整理手続が行われるため、期日が未指定のまま裁判所から弁護士会に対して、推薦依頼が行われることとなる。よって、従来のシステムとは異なる枠組みを用意する必要がある。
 また、同手続は、通常の準備手続に比べて、公判準備の程度を格段に強化した手続である(前掲書)から、この事件に対応するには、制度が周知・徹底されていない現段階においては、それ相応の意欲と能力を伴った弁護士において担われることが望ましい。
 公判前整理手続に付される事件は、裁判所・検察庁との協議において、「裁判員対象事件か否かを問わず、実質的に争点及び証拠の整理が必要な事件に限定する(年間数十件程度と思われる)」とされており、著しい数の事件数をこなさなければならないわけではない。
 刑弁センターには、公的弁護人の推薦順序を変更する権限が認められている(国費による弁護人の推薦等公的弁護運営規則4条但書)ので、この規定に基づき、同センターとして公判前整理手続に付される事件については、希望者による名簿に基づいて推薦を行うことを、本年7月の委員会において決議した。
 同決議に基づき、希望者を募ったところ、30名あまりの希望者を得たので、これを名簿に登載した。
 今後、期日未指定で裁判所から公判前整理手続相当事件であるとして国選弁護人推薦が行われた場合は、この名簿に基づいて推薦が行われることとなる。
3 同名簿の扱いについて、留意していただきたい点は以下のとおりである。
 1) 同名簿が適用されるのは、基本的には本庁の事件である。
 合議が行われる支部においては、弁護士会支部の立場を尊重するので、弁護士会支部において、各裁判所支部と協議の上、取り扱いを決していただければよい。もっとも、弁護士会支部の中には、状況しだいでは、弁護士会支部のみでは対応できかねるという場合もあろうから、この場合は、弁護士会支部の要請があれば、同名簿を利用して支部事件に適用することもありうる。
 2)同名簿は、起訴前段階では弁護人が選任されていない事件についてのみ適用される。
 起訴前から弁護人が選任されている時は、その弁護人が起訴後も弁護人となるのが通常であろうから、事件が公判前整理手続に付される場合は、その弁護人が担当するのがもっとも迅速かつ的確な対応をすることが可能である。
 よって、同名簿に登載されていないからといって、公判前整理手続をまぬかれるものではない。これは、同名簿が私選弁護人が選任されている場合に適用がないことから当然導かれることである。
 刑事被疑者援助制度(刑事扶助)から国選事件に切り替えが行われる場合は、私選弁護人が選任されているときと同様であるから、同名簿の適用はない。つまり、刑事扶助で選任されている弁護人が引き続き公判前整理手続を行うこととなる。
 現在、当番弁護士制度の中で委員会派遣制度があるが、これによって派遣される事件は重大事件であるから、公判前整理手続に付される可能性が類型的に見て高い(もっとも、制度発足当初は、単なる自白事件では公判前整理手続に付されない可能性が高いと思われるが)ので、注意が必要である。
 繰り返しになるが、今回の名簿はあくまで弁護人が起訴前段階では選任されておらず、裁判所から期日未指定で公判前整理手続相当の事件を処理するためのものである。この名簿に登載されていないからといって、公判前整理手続をいかなる場合でもまぬかれるものではない。
 3) 同名簿は、司法支援センターが国選業務を開始する2006年10月1日までのものである。
 弁護士会が、国選弁護人の推薦業務を担当するのは、2006年9月30日までであるから、必然的に同名簿の効力もそれまでとなる。
 4) 同名簿によって具体的に公判前整理手続事件を配点するに当たっては、日弁連又は当会の主催した研修会を受講することを前提条件としている。
 これは同手続が従来にないものであり、主張や証拠請求を行っておかないと、失権効があり、重大な不利益を被告人にもたらしかねないため、その点を配慮してのものである。多忙であって研修会に参加できないという方は、日弁連のホームページ(会員向け)から、過去に行われた日弁連主催の研修会をインターネットで受講することが可能であるので、これを聴講すれば受講した扱いを受けることができる。
4 公判前整理手続は、裁判員制度が施行されれば、同制度対象事件については必要的と定められており、今後多くの弁護士が同制度に習熟することが求められる。当会の対応体制と共に、同制度の理解を深めていただきたいと切に願う次第である。
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by lodaichi | 2005-10-23 14:55
 強制わいせつ罪と迷惑防止条例の卑猥な言動のどちらに該当すかの判断基準について、中山京大名誉教授が、ブログで書かれていました。参考になります。
こちら
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by lodaichi | 2005-10-22 20:05
1 接見禁止決定の趣旨にもとる行為を行ったとして戒告にされたケース
 第三者から被疑者が覚せい剤の営利目的譲渡事案で勾留されているが、接見禁止中で状況がわからないので、捜査上誰の名前が出ているかも含めて状況を聞いてきてほしいと依頼を受け、5万円を受け取り、事情を聴取して、被疑者からの話を第三者に伝えた(被疑者の了解は得ていた)。
 この行為が、接見禁止の趣旨にもとり、事件関与者の罪障隠滅を誘発するおそれが高いとして戒告とされた。
2 被告人から、違法収集証拠排除で徹底的に争う意思を聞いていながら、これを争わず、証拠をすべて同意したとして戒告にされたケース
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by lodaichi | 2005-10-18 08:02 | 弁護士懲戒事例(刑事関係)
厚生労働省の鑑定ガイドライン案はこちら

これに対する、日弁連の「心神喪失者等医療観察法鑑定ガイドライン」策定に対する意見書は、こちら
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by lodaichi | 2005-10-12 19:04 | 医療観察法
(注) 千葉県弁護士会の会務情報向けに書いた原稿です。「当会」とは、千葉県弁護士会を指します。

1 刑訴法が改正され、2006年秋までには、私選弁護人紹介制度が施行されることとなっている。同制度と同時に被疑者国選制度がスタートすることとなり、これらの制度に対応する体制を構築することが必要不可欠な課題となる。
 そこでまず、当会において現在存在する弁護人推薦制度について見た上で、若干の問題点について検討することとしたい。
2 現在適用されている刑訴法(以下、現行刑訴法)においては、「勾引又は勾留された被告人は裁判所又は監獄の長もしくはその代理者に弁護士、弁護士法人又は弁護士会を指定して、弁護人の選任を申し出ることができる。ただし、被告人に弁護人があるときはこの限りでない」(78条1項)と規定し、この規定は被疑者にも適用されることから(207条)、被疑者、被告人に弁護士会を指定しての弁護人の選任が認められている。
 この刑訴法の規定に対処するため当会においては、「弁護人推薦規則」(以下「規則」という)及び「私選弁護人推薦依頼に対する処理要綱」(以下「要綱」という)が規定されている。規則が「弁護人推薦」という語を使用しているから、現在の当会の制度を「弁護人推薦制度」ということにする。
 現在の弁護人推薦制度は、
  ① 当番弁護士から受任するときは、当番弁護士運営規則による(規則7条)
② それ以外は原則として、法律相談センターの法律相談による(規則2条本文)
③ 但し、規則に定める例外的な場合は要綱による(規則2条但書)
こととされており、弁護人の推薦を求められた場合でも上記3通りの処理方法が存在することとなっており、一本化はされていない。
 ③の処理方法が適用される場合として、規則には、
a 推薦申込者の資力に疑問があり、弁護費用の支払いが受けられないおそれのある場合
b 前任の弁護人が辞任している等、弁護人と被疑者又は被告人との間の信頼関係の形成が困難と思われる場合
c 被疑者又は被告人が逮捕・勾留され、又はそのおそれが切迫していて、緊急に弁護人を推薦する必要がある場合
と規定されており、例外規定とはいえ、運用によっては、幅広い事件を③の方式により処理することが可能となっている反面、事案をある程度聴取しないと判断できない規定となっているため、弁護士会の事務局レベルでは、③の処理方法を適用してよいかどうかが判断できないケースもあったのではないかと思われる。
 現に③の処理方法は、これまで年間4・5件しか行われていない。
 3つの処理方法のうち、①③は刑弁センター管轄だが、②は法律相談センター管轄であり、弁護人推薦という目的に対して、2つの委員会が所掌するという点も問題である。
 これらの問題点は、私選弁護人紹介制度を構築する上で、解消されなければならない。

 3 現行刑訴法は、「勾引又は勾留された被疑者、被告人」についてのみ、規定しているだけであるが、規則は、「被疑者、被告人又はその親族ら」からの弁護紹介の申込がなされた場合に対応するものとしており(1条)、現行刑訴法よりも対象範囲を広げている。
 しかも、「親族ら」としていることから、親族以外にも含みをもたせる規定となっているため、親族とはいえない、例えば内縁の妻からの申込にも対応できる一方、知人からの紹介も可能であるように読める。このような規定の仕方は運用に弾力性を与えるという意味では肯定的に考えるべきかもしれない。
 改正点の私選弁護人紹介制度においては、対象は「被疑者、被告人」であり、現行刑訴法よりも勾留の有無を問わなくなったため、幅が広くなっている。
 4 2項において述べた③の処理方式は、推薦部会において、事件処理をする方式である。
 この点について規定しているのが要綱である。
 推薦部会は、刑弁センター委員長及び副委員長で構成され、部会長は刑弁センター委員長が兼任する(1条2項)。
 推薦部会において、推薦依頼者の資力・事案の内容等を調査する必要があるときは、刑弁センター委員の中から調査担当者を指名して調査することができ、調査担当者は、被疑者、被告人に面接する等の必要な調査を行い、調査結果を報告書として提出する(2条)。
 推薦部会が推薦担当者と判断したときは、会員に対し、希望者を募集する(3条1項)。

 現在、この募集は全会員にFAXする方式で行われている。
 推薦者が決まれば、その者が被疑者、被告人に接見して弁護人となることになる。
 希望者が見当たらないときは又は、依頼者の資力や事案の内容等によって、推薦部分が推薦不相当と判断してときは、推薦をしないことを理由を付して推薦依頼者に送付しなければならない(3条3項、4条2項)。
 以上のようにこの処理方式は、
弁護士会事務局→推薦部会→調査担当の選定・派遣→調査担当の調査・報告→推薦部分による推薦相当性の判断→公募→推薦・不推薦の決定
という流れとなり、慎重な調査を要する事案には向いているものの、迅速性に欠けるため、被疑者段階での依頼が増えると思われる私選弁護人紹介制度のもとでは、この方式は不向きであろう。
 迅速性を確保するための方策を今後構築しなければならないというべきである。
 5 以上、当会の弁護人推薦制度を紹介しながら、私選弁護人紹介制度を構築するにあたって検討すべき点について触れてきたが、私選弁護人紹介制度そのものがもつ問題点について検討する必要もある。
 刑訴法31条の2は、
 「弁護人を推薦しようとする被告人又は被疑者は、弁護士会に対し、弁護人の選任の申出をすることができる」と規定し(1項)、現行の「ただし、被告人に弁護人があるときはこの限りでない」という規定をはずしている。そうすると、被告人又は被疑者に弁護人がいるときにおいても、被告人又は被疑者は弁護人選任を弁護士会にすることができる権利を有していると解さざるを得ない。
 被疑者又は被告人に弁護人が存在するときにおいても、弁護人選任権があることは、憲法の弁護人選任権の趣旨からも認められることであろうし、旧弁護士倫理(46条、47条)の規定を受けついだ弁護士職務基本規定上の規定からも他の弁護士が参加しうることは当然視されているのであるから、改正刑訴法は、この点について、現行刑訴法よりも被疑者又は被告人の選任権を実効あらしめる為に拡充したものと捉えることができよう。
 このように考えることができるとすれば、弁護士会は、被疑者又は被告人の弁護人選任の申出があった都度、弁護人を紹介できなくなるまで弁護人を紹介する義務が生じると解すべきではないであろうか。
 また、改正刑訴法は、31条の2第2項及び第3項において、弁護士会の義務規定を定めており、これは、現行刑訴法には規定がないことから、被疑者又は被告人の権利性に対応する形で、弁護士会の義務性を明確にしたものと解することができるであろう。
 また、本来国選を希望していた被疑者、被告人が資産基準の関係で私選弁護人紹介制度に回されるという制度となっており(31条の3)、このような消極的な私選弁護人紹介の申出があることも改正法の特色である。
 このような弁護士会に新たに課せられた義務をどのように履行すべきかを勘案して弁護士会における体制を構築する必要がある。
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by lodaichi | 2005-10-07 15:16