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3年目くらいまでの弁護士向け実務刑事弁護の覚書


by lodaichi

裁判員対象事件

以前、被疑者国選の対象事件について書いたが(→過去記事
裁判員対象事件についても書いておこう。

 これは、被疑者段階で自分が受任する(又はしようとする)事件について、被疑者に今後を説明する上で必須の知識だからだ。
 
裁判員対象事件は、刑事訴訟法を見回してもどこにも書いていない。
”裁判員の参加する刑事裁判に関する法律”
にこれは書いてある。

 対象事件は以下のとおり。
1 死刑又は無期の懲役・禁錮に当たる罪に関する事件(法2条1項1号)
2 法定合議事件(法律上合議体で裁判することが必要とされている重大事件)であって故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に関するもの(同項2号)

これを罪名別に一覧表にしたものは法務省のHPにでている
PDFファイル


ただ、これは実務ではあまりでてこない事件も多く(というか、見たこともない犯罪の方が多い)、正確だが、大ざっぱに覚えるのには向いていない。

覚え方としては、自分としては、こんな風に考えた。
まず、2号の方をみて、
 故意行為+死亡の結果
がある事件は裁判員対象となると。
 ここから、殺人とか傷害致死が対象になることはすぐにわかるだろうし、強盗とか強姦、強制わいせつ致死がそれに加わっても同じだから
 強盗殺人、強盗致死
 強姦致死
 強制わいせつ致死
なども対象事件となることがわかる。
 
 交通事故関係では、
 危険運転致死
が対象事件だが(危険運転自体が故意の行為)、自動車運転致死や業務上過失致死は、法定合議事件でもないし、故意の犯罪行為とはいえないから、対象から外される。

 これで2号はおさえられたことになる。
 問題は1号だ。
 死刑が法定刑として入っているもの(これは直感的にわかりやすい)。
 2号で該当しないが、1号に該当する死刑事件として、実務上よく出てくるものとしては、
  現住建造物放火
がある。
 「無期」のみが法定刑に入っているものは、意外とおとしやすい
 これは丸暗記するしかないだろう。
 もっとも頻発するものは
 ・強盗致傷
であろう。
 千葉県では、
 ・営利目的による覚せい剤の輸入(輸出や製造も同一法定刑だが、ほとんど見たことがない)
も多い。

 普段は、死刑や無期が法定刑に入っていても目に留めないことが多かったが、こうやって裁判員裁判対象事件を考えてみると、この辺の法定刑をしっかりおさえておくことも大事だ。
by lodaichi | 2009-03-30 08:14