訴訟費用不負担の弁論
2008年 04月 07日
書いていない弁護人が多いのではないかと思うが、訴訟費用を負担させるか否かも判決事項であるから、この点についても弁論要旨に書くべきだろう。
という考えから、「訴訟費用についての意見を書くように」と指示したところ、新人弁護士君からでてきた起案は
「被告人には資力はなく,訴訟費用を負担させないのが妥当である。」
というものであった。
残念ながら、これでは何の説得力もない。
刑訴法181条は、条文構造からすれば
原則 被告人負担
例外 「被告人が貧困のため訴訟費用を納付することのできないことが明らかであるとき」
不負担
ということになっているのだから、要件事実チックにいえば、
1 被告人が貧困である
2 訴訟費用を納付することのできないことが明らかである
ということを具体的事実によって主張立証しなければならない
ことになるはずだ。
それが、ひとこと「資力がない」では、なんだかわからない。
しかも、その弁論要旨には、被告人は現在は、仕事はできていないが(勾留されているから当たり前なんだが)、釈放されたら仕事に復帰できる見込みであると書いてある。
そこは、よい。
しかし、そうであれば、訴訟費用の不負担の主張にはマイナスに作用するはずだ。
だから、具体的にどんなところに貧して困っているのか(貧困)、訴訟費用(国選弁護費用だけなら10万円よりもちょっとかけるくらいか)を払えそうにないのかということを言ってくれないとわからないわけだ。
少なくもと国選になっている時点で、国選の資力要件はクリアーしているわけだし、資力報告書をみれば、その辺だってかけるはずだし、被告人や情状証人に聞けば、生活に困っているであろうことはいくらでもでてくるだろう。
そういうことを書いてほしいのだ。