3年目くらいまでの弁護士向け実務刑事弁護の覚書


by lodaichi

不法在留罪

 この間、入国管理法違反事件について、ある弁護士と議論していたら、「不法残留」と「不法在留」の区別がわかっていなかったので、その区別について書いておく。

関東管区警察局のHPに定義をやさしくかいてあるので、それを引用しよう。


Q 「不法残留」とは、どのような罪ですか。
A 外国人が正規に日本に入国・在留するためには、特別な場合を除いて、必ず在留資格が必要です。在留資格には、外交、興行、短期滞在、就学、定住者等27種類があり、それぞれに活動できる範囲と在留できる期間が定められています。この定められた在留期間を超えて日本に在留することを「不法残留」と言い、出入国管理及び難民認定法第70条第1項第5号違反として3年以下の懲役若しくは禁錮若しくは300万円以下の罰金に処し、又はその懲役若しくは禁錮及び罰金を併科されます。

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Q 「不法在留」とは、どのような罪ですか。
A 平成12年2月18日から改正出入国管理及び難民認定法が施行され、同法の中に「不法在留罪」が新設されました。不法在留とは、日本に不法入国又は不法上陸した者が、引き続き日本に在留する行為をいい、同法第70条第2項違反として、3年以下の懲役若しくは禁錮若しくは300万円以下の罰金に処し、又はその懲役若しくは禁錮及び罰金を併科されます。

 引用終わり。

 つまり、不法残留は 70条第1項第5号の問題(いわゆる、オーバーステイともよばれる)
 不法在留は70条2項の問題である。
 
 なぜ不法在留罪が平成12年2月18日から施行されたのかというと、不法入国者が公訴時効で起訴できないというケースが多発したからである。
 
 不法入国は状態犯で、入国した時点から公訴時効が進行する。
 不法残留は、継続犯で、残留している限り公訴時効は進行しない。
 それで、不法入国は不起訴になるが、不法残留は起訴されるというアンバランスが生じたのである。

 そのため、そのアンバランスさを是正するために、不法在留罪が新設されたのである(といっても、もう8年も前のことだが)。

 10年以上弁護士をやっていると、こういうのは自分が体験してきたことなのだが、若手を見ていると(当たり前のことだが)、そういう歴史的経緯というのは伝わらないらしい。

 だから、こういうことを書くことも意味があることだろう。 
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by lodaichi | 2008-03-30 16:11