勾留請求件数と当番弁護士の関係
2005年 07月 21日
1 この度、日弁連において作成された統計資料を参照することができたので、標記の件について若干の検討を試みる。
2 平成15年の千葉における勾留請求件数は7565件であり(地裁・簡裁の総数)、全国4位である。5000件以上は以下のとおり。
①東京 27,624件 ⑥名古屋 7,039件
②大阪 11,551件 ⑦福岡 6,803件
③横浜 9,866件 ⑧神戸 5,052件
④千葉 7,565件
⑤さいたま 7,325件
千葉の中での勾留請求の内訳は
地裁本庁 3,180件
地裁松戸支部 411件
千葉簡裁 1,787件
松戸簡裁 743件
市川簡裁 154件
木更津簡裁 565件
八日市場簡裁 725件
となっている。
3 同年における当会の当番弁護士の受付件数は3183件である。これは前記の勾留請求件数(7565件)の42.1%であり、勾留請求件数に比較すると当番弁護士の受付件数との開きは今なお大きいことがみてとれる。
もっとも、勾留請求件数に対する当番弁護士の受付件数の割合の全国平均は2003年においては43.21%であり、千葉はおよそ全国平均に近似する値であるから、当番弁護士の受付余地が大きいのは全国的傾向である。
4 一方、平成15年で公判段階で国選弁護人の付いた被告人数は、千葉は3094件で全国7位である。3000件以上は以下のとおり。
1東京 11,931件
2大阪 6,022件
3横浜 4,128件
4名古屋 3,423件
5さいたま 3,373件
6福岡 3,254件
7千葉 3,094件
勾留請求件数に比べて、国選弁護人選任件数が全国ランクから見て低くなるのは、他県と比べて起訴する割合が低いのか、私選率が高いのか又はそのいずれかということになるが、参照した統計からはこの点不明である。
千葉の中での国選選任の内訳は
地裁本庁 1,179件 千葉簡裁 138件
地裁松戸支部 382件 佐倉簡裁 2件
地裁木更津支部 194件 一宮簡裁 1件
地裁八日市場支部 239件 松戸簡裁 100件
地裁館山支部 61件 木更津簡裁 45件
館山簡裁 8件
銚子簡裁 16件
東金簡裁 11件
八日市場簡裁 5件
である。
5 この平成15年の勾留請求件数をもとに、必要的弁護事件が占める割合を乗じて、必要的弁護事件の事件数を日弁連が算出しているのであるが、これは以下のとおりとなる。
本庁 3,096件
松戸 698件
木更津 342件
八日市場 438件
計 4,574件
これが、2009年実施予定の被疑者国選の件数というのである。この数字は当会の当番弁護の登録者数243人(本年4月1日現在)で割っても、1人あたり18.8件となり、かなり負担感の大きい数字となる。
6 日弁連においては、各会の年令別構成も算出している(本庁と松戸のみ抜書きした)。
本庁管内弁護士
~29歳(11人) 30~34歳(36人) 35~39歳(21人) 40~44歳(17人) 45~49歳(20人)
50~54歳(27人) 55~59歳(36人) 60~64歳(22人) 65~69歳(16人) 70歳~(31人)
松戸支部弁護士
~29歳(3人) 30~34歳(6人) 35~39歳(5人) 40~44歳(1人) 45~49歳(7人)
50~54歳(5人) 55~59歳(9人) 60~64歳(8人) 65~69歳(2人) 70歳~(8人)
本庁合計237人のうち55歳以上が105人であり、この層が10年経てば65歳以上となるから、これを上回る人数を今後10年間で確保しなければ、現状維持すらおぼつかなくなる。
松戸支部においても、合計54人中、55歳以上が27人と半数を占めており、事態は本庁より深刻である。
筆者は従来から、本庁・松戸支部以外の地域の刑事事件の担い手の手薄さを問題としてきたが、これに加えて当会においても高令化問題による刑事事件の担い手不足のおそれが明らかになったというべきである。これを解消する地道な努力が求められる。