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3年目くらいまでの弁護士向け実務刑事弁護の覚書


by lodaichi

公訴事実不特定の場合の意見書

検察官の公訴事実が不特定であると考える場合の意見書の前ふりを考えましたので、活用してください。
(覚せい剤事件用)

 検察官の公訴事実は不特定であると考える。
 公訴事実は、「**」というものであり、日時が不特定である。
 いわゆる白山丸事件において、最高裁は、「刑訴二五六条三項において、公訴事実は訴因を明示してこれを記載しなければならない、訴因を明示するには、できる限り日時、場所及び方法を以て罪となるべき事実を特定してこれをしなければならないと規定する所以のものは、裁判所に対し審判の対象を限定するとともに、被告人に対し防御の範囲を示すことを目的とするものと解されるところ、犯罪の日時、場所及び方法は、これら事項が、犯罪を構成する要素になっている場合を除き、本来は、罪となるべき事実そのものではなく、ただ訴因を特定する一手段として、できる限り具体的に表示すべきことを要請されているのであるから、犯罪の種類、性質等の如何により、これを詳らかにすることができない特殊事情がある場合には、前記法の目的を害さないかぎりの幅のある表示をしても、その一事のみを以て、罪となるべき事実を特定しない違法があるということはできない。」と述べて、幅のある記載を認め(最高裁昭和37年11月28判決刑集16巻11号1633頁)、覚せい剤取締法違反事件(使用)においても、「日時、場所の表示にある程度の幅があり、かつ使用量、使用方法の表示にも明確を欠くところがあるとしても、検察官において起訴当時の証拠に基づきできる限り特定したものである」以上は違法の問題は生じないとした。
 しかしながら、本件においては、起訴当時の証拠に基づいてより詳細に特定できるものであって、かつ、特定しなければ被告人の防御に支障が生じる。

 <以下、具体的に論じる>
by lodaichi | 2011-12-15 22:42