3年目くらいまでの弁護士向け実務刑事弁護の覚書


by lodaichi

「起訴を待つのみ」でよいか?

被疑者国選が5月21日に拡大したことをうけ、弁護士会が各弁護士にアンケートをとったその結果が配布された。

自由記入欄には、弁護士の色々な考え方が書いてあって、興味深い。

その中で、こんなのがあった。
「被疑者国選の被疑者が事実を認め、示談等の要素がない場合、起訴を待つのみとなるが、これはやむをえないことか?」

具体的にどういう事件を念頭においてこう書かれたのかは分からないが、例えば、覚せい剤の自己使用罪だった場合で、はたして”起訴を待つのみ”でよいのか考えてみよう。

この弁護士だったら
被疑事実として
「被疑者は平成○年○月○日ころ、○市の自宅内において覚せい剤を自己使用した。」
と書かれているが、間違いないのかねと初回の接見で聞き
「はい、間違いないです」
と被疑者から答えがあると、もうそれ以上やることはないから
・覚せい剤の自己使用だから示談をすることもないし
・自己使用だから起訴されてしまうのは必至だし
ということで、これ以上やることがないから、起訴を待つか
という発想になるのであろう。

しかし、それは全く頭が働いていない証拠である。
やるべきことは、それこそ沢山あるので、書き始めたらきりがないから、考えるヒントだけ書いておく。

・被疑事実は、本人が間違いないといっているが、本当に間違いがないのか。使用をした事が間違いないとしても、日にちは記憶違いということもあるのではないか。
・違法な捜査手続きはなかったのか。特に採尿手続。逮捕手続。
違法な取調べはないか、利益誘導されて自白しているということはないのか
・今後も違法な取調べがないとはいえないから、接見を重ねて捜査を監視する必要はないのか。

被疑事実について、パッと考えついただけでも、以上の点はきっちり聴取しなければならない。
情状面を含めたら、さらに色々なことがきける。

それなのに「起訴を待つ」ことでよいのだろうか。

この弁護士は、アンケートで自分の弁護に疑問をもっているだけまだましだ。
確信的に「起訴を待つ弁護」をしている弁護士はまだまだ相当多いに違いない。
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by lodaichi | 2009-08-12 15:52