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3年目くらいまでの弁護士向け実務刑事弁護の覚書


by lodaichi

告訴取消し

Q 器物損壊罪の被疑者段階の刑事弁護で、被害者と交渉したところ、被害者が示談および告訴の取り下げを受け入れてくれることとなりましたが、示談書等はどのような形式にすればいいですか。通常の示談書に加え,さらに何か別途書面をとる必要があるでしょうか。

A まず、用語の問題ですが、
 告訴取り下げ
と思われている方が多いですが、
告訴の”取消し”が正確な用語です。

刑訴法
第237条 告訴は、公訴の提起があるまでこれを取り消すことができる。
 
 器物損壊罪や強姦罪のような親告罪では、示談&告訴の取消しが重要なポイントになります。
 特に、告訴は、237条からもわかるように、公訴提起までに取消しをしてもらわないと、意味がありません。
 
 ところで、質問は、示談書だけを作ればいいのか、それとも別に告訴取消書というようなものを作成するのかということがテーマになっています。

 このような質問が出てくること自体、先を読むことができるようになった証拠です(ど新人のときは、このような質問自体ができません)。
 
 さらに、自分でこの質問について回答できればよかったと思います。

 示談とは法律上どういう意味を持つのか?
 告訴とは法律上どういう意味を持つのか?

 そうすると、
 示談とは、民事上の契約
 告訴とは、訴訟法上の問題で捜査機関に対しての意思表示
ということに気がつくはずです。
 
 そうなれば、示談と告訴取消しというのは、別々に作成することが必要であるということになるはずです。
 告訴取消しは原本が必要ですが、それを捜査機関に出してしまったら、示談書の原本が手元に残らないということも実際上の問題としてはあります。

 書式は、
「告訴取消書」
でググればでてきます

 インターネットが使えなかったころは、条文から自分で書式を考えたものですから、経験をつめば自分で”こういう風に書けばよいかな”とあたりをつけた上で、インターネットを参照するという段階に進むことができるでしょう。
by lodaichi | 2009-04-27 20:03